曾孫が語る渋沢栄一の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「奇跡の10年」を経て新たなナショナル・リーダーとして出発
曾孫が語る渋沢栄一の真実(3)新しいリーダーの誕生
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
明治政府の役人として働くことは当時もてはやされたが、渋沢栄一は3年半で野に下る。自ら起草した国立銀行条例に基づいて、第一国立銀行の経営を実践したのである。銀行経営は自分の利を求めたからではなく、鉄道をつくり工場を建てるなど、近代日本そのものを経営するためであった。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分33秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年2月15日
≪全文≫

●銀行も銀行制度も自らつくった渋沢栄一


―― エピソードとしては、大久保利通との話が残っています。当時、最大の権力者であり実力者といえば大久保だと思います。その彼が、「軍の整備のためにこれだけ(予算を)寄越せ」と言ってきたのに対し、渋沢栄一さんが憤然と楯突き、喧嘩をしたということで、時の権力者に思い切り楯つくということまでされたわけですね。

渋沢 「入るを量りて出ずるを為す」というのでしょうか。つまり、入ったものが分からなければ、出すほうは決められないよ、といういわば正論ですよね。今の政府もあまりやっていないようだけれども(笑)、それを主張したのです。それで、大久保さんとはあまり仲がよくなくなったみたいだけれども、栄一の官僚としての、あるいはリーダーとしてのステータスは上がりました。たった3年半で、一種の人間的な幅ができた、ということでしょうか。

―― ですよねえ。

渋沢 銀行設立準備を進めているなかで、政府を辞める。当時は政府の役人になるのは大変有利なことで、みんななかなか辞めない時だったのですけれども、率先辞めて、民間に下るということをします。そして、それができると今度は銀行を足場にして、王子製紙の工場を開業させるとか、つまり近代化に本気になるという場をつくったわけです。

―― しかも、栄一さんの場合は、銀行制度自体をつくるのにも関わっておられた。制度をつくり、自分で銀行を動かすということですね。大蔵省に勤めていた時に「国立銀行条例」を起草して、ご自身で「第一国立銀行」を開設されたということなのですね。

渋沢 西洋式金融機関の初めの第一発ですね。その責任者になったのは、三井家などいろいろな出資者たちの同意や頼みに応じたわけで、最初は「総監役」という役職に就きます。

 その後41年、栄一は頭取勤めをするわけですけれども、それが一つの足場になり、いろいろな人と語り合って鉄道をつくる計画などに結びついていった。そういう構想は政府にいたときもあったかもしれないけれど、鉄道をつくるなど、そう簡単にできるものではないですよね。そこで、蜂須賀茂韶(旧徳島藩主)とか伊達宗城(旧宇和島藩主)とか、そういうお大名のお金をたくさん…

―― 貯蓄といいますか、お預かりした。

渋沢 お預かりして、それで鉄道をつくって、配当をお返しするという資本主義のあり方を実践しようとし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
大人の学び~発展しつづける人生のために(2)熟達と遊び~好奇心から始まる学び
好奇心はコントロールが効かない…遊びの重要な条件とは
為末大
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
金融政策正常化の難しさ(2)今後の可能性と日本への影響
欧米で高まる金融政策正常化の背景と今後の可能性
植田和男
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将