渋沢栄一の生涯と教養としての『論語』
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
渋沢栄一の人生に影響を与えた藍づくりの経験
第2話へ進む
渋沢栄一とはどんな人物だったか?その生い立ちに迫る
渋沢栄一の生涯と教養としての『論語』(1)農業経営者としての渋沢家
田口佳史(東洋思想研究家)
渋沢栄一はアヘン戦争の年にあたる1840年に生まれているが、それは彼がまさに新しい時代の申し子だったことを象徴していると田口氏は言う。そして、注目すべきことはもう一つ。農民として生まれてきた、その生い立ちだ。あまり知られていないが、彼の家はいわゆる極貧の生活と重労働に耐えるという当時の農民のイメージとは違っていた。どういう家だったのか。2024年に新たな1万円札の顔となる渋沢栄一と『論語』について解説するシリーズ講義、その第一話では彼の生い立ちに迫っていく。(全9話中第1話)
時間:10分52秒
収録日:2020年3月3日
追加日:2021年7月18日
≪全文≫

●新しいお札の顔、渋沢栄一の生い立ち


 今回から「渋沢栄一と『論語』」についての講義を行います。渋沢栄一がお札の顔になるという発表があったせいか、「渋沢についての話を」というリクエストが非常に多くなりました。1年間、いろいろなところへ行って渋沢栄一についてお話をする。話しながら、こちらもこれまでに足りなかったところをどんどんカバーしていくうち、1年を終わってみるとすっかり渋沢栄一通になってきたようです。

 今回もいろんなことを皆さんにお伝えしたいという思いは山々でありますが、何をお伝えしたらいいのかということですね。これはこの講座の趣旨でもありますが、偉人はいかにして古典を読んで、偉人たり得たかということを皆さんにお伝えするというところでありますので、渋沢の思想形成において、『論語』がいかに寄与したかという話にどうしてもなっていきます。それをよく知っていただくと、皆さんも『論語』をどう読んだらいいのか、つまり自分をつくっていく、そういうときにいかに古典を資するかということが非常に重要になってくる、そのコツがよく分かっていただけるんじゃないかと思うわけです。

 渋沢についてのさまざまな知識がまったくないという方もおられると思いますので、資料の中に渋沢の一生というものをずっと示しました。それを見ていただくといいと思います。

 渋沢は天保11年、なんと1840年に生まれました。「なんと」と言ったのは、これがアヘン戦争の年にあたるからです。彼が新しい時代の申し子だったことが象徴されているような年号の2月13日、血洗島という迫力ある名の場所で誕生しています。

 彼の出生について注目すべきなのは、農民として生まれてきたことです。江戸時代の農民というと、食うや食わずで、極貧の生活と重労働に耐えたイメージがあります。反対に搾取する側の地主は、農民をぎゅうぎゅうこき使って裕福になった。われわれにはこういう既成概念がありがちですが、これをまったく変えざるを得ないのが、渋沢の育った家の農業です。

 私の考えでは「農業経営者」と呼んだほうが近いのではないかと思います。後々の話にも関係するので、少しここを細かく申し上げておくと、普通、農家は米を作るのが主業になりますが、渋沢の家はそういう農業ではなく、作って売る商品を二つ持っていました。


●...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(6)高市政権誕生の影響
ポイントは財政悪化よりインフレ?…高市政権でどうなるか
養田功一郎
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
新撰組と幕末日本の「真実」(1)近藤勇…教養人の素顔と日野宿本陣
近藤勇と日野宿本陣…多摩の豪農たちの財力と教養力の凄さ
堀口茉純