豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
兄・秀吉の分身としての役割を果たした秀長の存在
第2話へ進む
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
豊臣秀吉は日本史上、いわゆる庶民から天下人まで上り詰めた唯一の武将といっていいが、秀吉が活躍できた要因として補佐役の存在がある。戦国の時代を生き抜く上で、リーダーと補佐役はどのような関係を築いたのか、また、リーダーにとって補佐役はどんな役割を担ったのか。第1話では、織田軍団で突出していった秀吉自身の特質について考えていく。(全5話中第1話)
インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分21秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年4月4日
≪全文≫

●秀吉の功績を支えた二人の補佐役


―― 皆様、こんにちは。

小和田 こんにちは。

―― 本日は小和田哲男先生に、豊臣秀吉、豊臣秀長、石田三成という3人を取り上げていただき、リーダーと補佐役についての講義をいただこうと思っております。小和田先生、どうぞよろしくお願いいたします。

小和田 よろしくお願いします。

―― 秀吉は昔から大人気の武将であったわけですが、堺屋太一さんが秀長の小説(『豊臣秀長 ある補佐役の生涯』PHP文庫)を書かれた頃から、一躍リーダーと補佐役の関係に焦点が当たるようになりました。

 小和田先生は中公新書から『豊臣秀吉』というご本を出版されている一方、PHP新書では『石田三成』というご本もお書きになっています。家臣団の中におけるリーダーの役割、補佐役の役割ということで、今日はお話をおうかがいできればと思っております。

小和田 はい。

―― その前に、まず秀吉という人の特徴ですね。このようなリーダーの下にこのような補佐役、というところがあると思いますので、秀吉のリーダーとしての特質をお聞きできればと思います。

小和田 秀吉自身がすぐれた才能を持つ、突出した武将であることは確かです。ただ、世間一般でよく言われることですが、一人の個人の力量にはある程度限界があります。その点、秀吉の場合はすぐそばに弟の秀長がいたし、ある程度天下の政権が固まってきた頃には、石田三成という有能な部下がいた。その二人に支えられた側面があります。

 どうしても教科書的な記述、あるいは概説や年表など、ほんの数行で書くとなると、全部秀吉一人の功績のように書かれてしまうのですが、その裏には実は弟の秀長および三成の働きがあった。それでようやく秀吉という一人の人間が表に出て完結する、といった捉え方ができると思います。


●秀吉は天下人になる途上で性格が一変した


―― 秀吉に関しては、『太閤記』はじめいろいろな物語が流布しているため、いわゆる実像と物語の中の人物像が混じってしまうところが多少あるかと思います。この『豊臣秀吉』のご本の中では先生が、その腑分けのようなことを大分していらっしゃいます。

小和田 はい。

―― 人物像として、彼が明るい人物であったことはもう間違いないところなのでしょうか。

小和田 若い頃については間違いないですね。それが、あるときを境にしてガラッと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子