財務省の課題と役割を問う
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
財務省は悪代官?なぜ増税に取り組むのか
財務省の課題と役割を問う(1)なぜ「悪代官」役が必要か
1989年に消費税が導入されてから約30年が経った。段階的に引き上げられ、2019年に10パーセントになった。その道のりは決して容易ではなかった。それをすれば「悪代官」といわれる増税だが、なぜ財務省はそれをあえて担ってきたのか。また、高齢化の進展に伴い、財政支出における社会保障費の割合が増加している。人口構造の変化はある程度予測が可能なものであるにもかかわらず、なぜそうした事態が起こってしまったのか。その要因の一つに、日本独自の霞が関文化の衰退があるのではないか。(全2話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:14分36秒
収録日:2021年4月27日
追加日:2021年7月21日
≪全文≫

●なぜ自ら悪代官になれるのか


―― 私は日本の財務省の人たちは大変立派だと思っています。これはもう江戸時代から同じですが、本来は増税したら、増税した人は「悪代官」と呼ばれます。民主主義政治制度の中では、選挙で負託を受けた政治家は、財政がきつければ悪代官をやらざるを得なくて、増税すれば悪代官でした。

 どうしても税収より歳出のほうがどんどん増えます。その一番大きいものは社会保障で、年金・医療・介護だと思います。その悪代官の役割をあえて財務省の人たちが担ってくれたことに日本の特殊性があります。

 これはものすごく損です。なぜなら、増税すれば必ず悪代官と呼ばれるからです。別に企業経営者ではないので、増税した金が自分たちに入るわけでも何でもありません。でもあえて悪代官をやり続けてくれました。

 日本の特異性は、それにもかかわらずこの構造の中で、自分たちに得でなく損になることをやり続けてくれる大蔵省の伝統的な精神性です。岡本さんがちょうどそこに入られて以来、この精神性って何に拠るのか気になります。昭和58年(1983年)にまだ日本が成長している頃の大蔵省に入り、そして2020年に事務次官として退官されました。ずっと見てきた中で、どうしてあえてこの問題に取り組むことができたのかが、私が最初にお聞きしたかったことです。

岡本 そのように言っていただけるのは大変過分なお言葉で、本当に恐縮します。他の省庁は節目、節目で大きな制度改正があれば、法律を国会に提出することはよくあります。こと財政については、予算は必ず毎年年末に編成をして、それで年が明けた通常国会に提出をして、1月、2月、3月はまさに予算の審議を受けます。基本的には年度内に成立させ、4月からまた予算を執行していきます。必ずそこには税法があるので、私たちは毎年予算編成をして、国会の審議を経て成立させます。これは課せられた義務であり、大蔵省・財務省の一つの特殊性でもあります。

 予算といっても、結局各省庁の政策はそれぞれが国の行く末に関わることが多いため、その政策の調整にも携わっていきます。そうしたことを当然の義務として続けていることが、おそらく組織の大きなDNAになっていると思います。


●税収減・歳出増の時代


岡本 ただ一方で、私が役所に入った昭和の後半は、財政再建だと言っていながらも、まだ税収が増えていた時代です。今...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(3)奇矯で壮絶な親娘の生活
引っ越し93回…自炊も片付けもせず、絵に人生を捧げた親娘
堀口茉純
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸