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日本が国際社会から信頼される国になるためには何が必要か

2020世界の政治経済と日本(8)DXと日本の課題

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
概要・テキスト
バブル崩壊後、日本経済は大きく落ち込んでいったが、その間アメリカ、中国、インドは、他国からの人的知的刺激を受けて大きく発展していった。「失われた20年」を経験した日本も、他国から大いに学ぶ必要がある。また、周辺国が核武装を進めるなか、日本はどうすればいいか。国際社会から信頼される国になるためにも、情報力と外交力と国民の理解が求められる。(2020年1月23日開催島田塾会長講演「2020世界の政治経済と日本」より全8話中第8話)
時間:08:51
収録日:2020/01/23
追加日:2020/05/18
カテゴリー:
≪全文≫

●この30年間で他国はどのように発展してきたのか


 では、どのように対策していけば良いのか、というのが次の課題です。1980年代は日本の時代でした。アメリカのシリコンバレーには、インテルなどさまざまな会社がありましたが、どの会社も日本の半導体に勝てませんでした。日本の製品の品質は断然良かったのです。

 結局、インテルなどは方針を転換してデザインに特化しました。その方向で努力を続けるうちに、アメリカに外国人がたくさん入ってきました。例えばイーロン・マスクという人がいますが、彼は南アフリカの出身です。アップル創業者のスティーブ・ジョブスは、父親がシリア人です。彼らはアメリカ社会にとって、異質の人々です。彼らが、アメリカだけではなく、世界を相手にしてビジネスに打ち込みました。グーグルであれば、世界中に最高の情報を提供することを目指しています。フェイスブック創業者のザッカーバーグはアメリカ人ですが、世界中皆を友人としてつなぐという信念を持っています。アップルは世界最高のマシンをつくるといっています。全ての目標が世界にあるのです。そうした企業が起こした変化は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼ばれています。

 対して、最初、中国はコピー、つまり「まねる」だったと思いますが、そのうちに「まねぶ」になり、今では「まなぶ」になり、さらには追い越すになっています。ファーウェイなどは完全に追い越しています。今、中国はBATHと呼ばれる、バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイの企業が急速に発展しています。アメリカではGAFA、つまりグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルです。これに最近もう一つNが入ってきました。これは、ネットフリックスです。これからは放送から映画まで全て、ネットフリックスが提供するようになるでしょう。

 そこから見ると、日本はもう3周遅れくらいに、大きく離されました。そのようなパラダイムチェンジがなければ、追いついていけません。人材も育てていません。例えばシリコンバレーはどうしてあれほど発展できたかというと、スタンフォード大学が果たした役割が大きいのです。スタンフォード大学は組織的に人材育成を行いました。ですから、日本も学べば同様にできないことはないはずです。

 実はインドがこれから発展してくると思います。インドに、バンガロールという都市があ...
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