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危機は一瞬にして起こりうる…現在の財政問題の核心とは

財務省の課題と役割を問う(2)財政危機がいかに起きるか

概要・テキスト
社会保障費の増加と新型コロナウイルスの影響により、日本の財政はこれまでにないほど拡大・悪化している。「MMT(現代貨幣理論)」が賛否を巻き起こす中、財政赤字の日本がこのまま国債に頼って借金ありきで突き進んでいった場合、一体何が起こるのか。これからの日本財政のあり方について考える。(全2話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:14:52
収録日:2021/04/27
追加日:2021/07/28
≪全文≫

●「MMT(現代貨幣理論)」は果たして有効な理論なのか


―― もう一つ、今日どうしてもお聞きしておきたかったことがあります。「MMT(現代貨幣理論)」が出てきて、「国が(紙幣を)刷ればなんぼでも金は出てくる」とか、「どんどん刷れば良い」「経常黒字の間は構わない」という相当乱暴な議論があります。異次元金融緩和までは良かったと思いますが、ある程度効果が止まった段階で、また次に、そうした乱暴な議論が出てくる。この段階までくると、フェイクニュースではないですが、危ない暴論的な感じがあり、議論が極端になっていきます。結局、自分たちで稼ぎに行くよりも、永田町と霞ヶ関にワアワア言いに行ったほうが、金が出てくると思っている感じがします。これに関してはどのように感じていますか。

岡本 そうですね。時々誤解されますが、財務省は、「借金して国債をどんどん出して歳出を増やすなんてとんでもない」と原理主義的に言っているわけではありません。まさに今回のコロナ対策の70兆円以上は全て国債で賄います。当然、必要なときにはそれをやらないといけません。これは当たり前です。

 ところが、「これができるのであれば、もうずっとこれでいいじゃないか」「最後に日銀が吸い上げていれば、金利なんか上がらないじゃないか」という人がいます。

 まさに財政学の教科書にある原則的な話ですが、かつて私たちは財政再建の必要性について、常にこう言っていました。「歳出が膨らんで借金が増えてくると、いずれまた金利が上がる。金利が上がって利払い費が増えると、予算に占める利払い費が増えて、他の歳出が厳しくなる。最後はハイパーインフレが起きる可能性がある」ということです。この原理は今でも全く変わりません。


●グローバル化経済における財政危機の特徴


岡本 経済がグローバル化している中で、実はギリシャ危機を境にして、財政危機の構造が大きく変わっていると思います。なぜギリシャというあんなに小さな国の財政問題が、ヨーロッパ全体、世界全体を揺るがすような議論に、そしてそれが危機になったのでしょうか。それは結局、その国の国債を他の国の金融機関が持っているからです。そうすると、その金融機関のバランスシートの危機になってしまいます。日本もかつてそれを乗り越えるときにやりましたが、金融危機に対しては公的資金を出します。公的資金も当然、借金です...
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