●男の子は動くものに対して夢中になる傾向がある
―― 男女の違いを知った上で「男の子の育て方、女の子の育て方」を考えていくと、いろいろな気づきがあるというのが、まさに『息子のトリセツ』『娘のトリセツ』で先生がお書きになったことです。先生がおっしゃっているのは、男の子の場合は空間認知を優先させる、女の子の場合には、コミュニケーションを優先させるということですね。これは、どのような違いに現れてくるのでしょうか。
黒川 男の子の場合は、車に夢中になり、電車に夢中になり、機能があるものに夢中になる。私の息子は小さいときに、「僕はキコウが好きなんだ」と言って、私が驚いたことがありました。
―― それは何歳ぐらいのときですか。
黒川 まだ保育園でしたね。主人の父が職人で、私の父ももともとは理系なので、おそらくどちらかがその言葉を教えたのだと思います。すごく素敵な木彫りの車があって、息子は車が好きだったので、私はそれをお土産で持って帰ったらすごく喜ぶと思ったのです。すると、「ママは分かっていない。僕が好きなのはキコウなんだよ」と言うので、「キコウって何?」と聞いたら、「ドアが開くとか、タイヤが回るとか、トランクが開けられるとか、ショベルカーが動くとか」と。「キコウ(機構)ってメカニズムのことね」と分かったのです。
男の子は、対象に対して夢中になる。しかも、その対象が機能を持っていたり、機構を持っていたりと、動くということに対して夢中になる傾向がある。男の子を育てていると、踏切でずっと電車を待たされたり、工事現場でずっと待たされたり、などといった経験はあると思います。
そして、女の子は、実は右脳と左脳の連携頻度が男の子よりも高いのです。右脳は感じる領域、左脳は顕在意識で、(連携頻度が高いために)感じたことを次々と自覚できるという特徴があります。だから、小さな女の子でも、自我は男性の成人の方よりもしっかりしていて、自分が何を望んでいるのか、自分が何をしたら周りの人が喜んでくれるのか、逆に自分が何をしたら周りの人がガッカリするのかなど、自分をよく知っている。これが女の子の特徴になります。
●お母さんが揺るがないことが大事
黒川 男の子の場合は、距離を測りながら世界観を広げていくので、脳の中に座標原点のようなものがあるのです。その座標原点が、まずはお母さんなの...