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お母さんが揺るがないことが男の子の子育てにはとても大事

黒川伊保子先生に学ぶ「子育てのトリセツ」(2)男の子の原点はお母さん

黒川伊保子
株式会社感性リサーチ 代表取締役社長/人工知能研究者/随筆家
情報・テキスト
とっさに遠くで動くものを見る特性のある男性脳。男の子が、動くものを好む傾向があるのはそのためである。加えて、男の子が自分の世界観を広げていく原点はお母さんであるという。そんな男の子を育てるコツとは――。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:13
収録日:2021/06/28
追加日:2021/08/30
≪全文≫

●男の子は動くものに対して夢中になる傾向がある


―― 男女の違いを知った上で「男の子の育て方、女の子の育て方」を考えていくと、いろいろな気づきがあるというのが、まさに『息子のトリセツ』『娘のトリセツ』で先生がお書きになったことです。先生がおっしゃっているのは、男の子の場合は空間認知を優先させる、女の子の場合には、コミュニケーションを優先させるということですね。これは、どのような違いに現れてくるのでしょうか。

黒川 男の子の場合は、車に夢中になり、電車に夢中になり、機能があるものに夢中になる。私の息子は小さいときに、「僕はキコウが好きなんだ」と言って、私が驚いたことがありました。

―― それは何歳ぐらいのときですか。

黒川 まだ保育園でしたね。主人の父が職人で、私の父ももともとは理系なので、おそらくどちらかがその言葉を教えたのだと思います。すごく素敵な木彫りの車があって、息子は車が好きだったので、私はそれをお土産で持って帰ったらすごく喜ぶと思ったのです。すると、「ママは分かっていない。僕が好きなのはキコウなんだよ」と言うので、「キコウって何?」と聞いたら、「ドアが開くとか、タイヤが回るとか、トランクが開けられるとか、ショベルカーが動くとか」と。「キコウ(機構)ってメカニズムのことね」と分かったのです。

 男の子は、対象に対して夢中になる。しかも、その対象が機能を持っていたり、機構を持っていたりと、動くということに対して夢中になる傾向がある。男の子を育てていると、踏切でずっと電車を待たされたり、工事現場でずっと待たされたり、などといった経験はあると思います。

 そして、女の子は、実は右脳と左脳の連携頻度が男の子よりも高いのです。右脳は感じる領域、左脳は顕在意識で、(連携頻度が高いために)感じたことを次々と自覚できるという特徴があります。だから、小さな女の子でも、自我は男性の成人の方よりもしっかりしていて、自分が何を望んでいるのか、自分が何をしたら周りの人が喜んでくれるのか、逆に自分が何をしたら周りの人がガッカリするのかなど、自分をよく知っている。これが女の子の特徴になります。


●お母さんが揺るがないことが大事


黒川 男の子の場合は、距離を測りながら世界観を広げていくので、脳の中に座標原点のようなものがあるのです。その座標原点が、まずはお母さんなので、お母さんが揺るがないこと、情緒が安定していてビビらないことが、男の子を冒険の旅に出していくために大事なことではないかと私は思います。男性脳の電気信号特性を見ているとそう感じたので、私が男の子の母として一番気をつけたのは、ビビらないことでした(笑)。

 それについていうと、先日、あるお母さんから質問を受けました。2歳の男の子を育てていて、子どもの具合が悪くて病院の帰りに薬局に寄ったら、具合が悪いので少し声を出して、靴を履いたままお母さんに抱きつこうとしたらしいのです。そうすると、そばにいた年配のご婦人が、「ダメ!」と鬼のような形相で、その2歳の具合の悪い男の子を叱ったそうです。「悪いのは私たちなのだけれども、もう少し世の中が大らかでいてくれたらいいのに」「男の子を委縮させたくない」「少しモヤモヤする」と彼女は言いました。

 そのときに、「私はそういったときに、実は便利な謝り言葉を使っていたのよ」と言いました。それは「子どもが気に障ったらすみません」です。「子どもが気に障りましたか。すみません」と謝るのですね。「うるさくしてすみません」と謝ったら、子どもの非を認めたことになるから、子どもを叱らなければいけないでしょう。でも、「子どもが気に障りましたか。すみません」というのは、相手の気持ちだけに謝っているのです。「子どもは多少騒ぐものでしょう? でも気に障ったら、それはごめんなさいね」ということですから。このように相手の気持ちだけに謝るという方法があるということです。

 とにかく、そこまで工夫しても、私は息子の前でビビらない母でいようと思っていました。

―― お母さんが揺るがないことは、男の子にとっては非常に大きいことですよね。

黒川 そうです。男の子は、最初は世界観をお母さんで作っていくのです。多少のことで動じない、失敗しても笑い飛ばすお母さんに育てられた男の子と、ほんのわずかなことを恐れて、失敗する前に「あなた、こうしなさい」「先方に怒られるから、ああしなさい」と言って、失敗したら子どもよりガッカリするお母さんに育てられた男の子では、やはり後者の男の子の器は小さくなってしまうのではないかなと私は思いましたね。

―― まさに今のお言葉の「器」ですよね。器をどう育てるか。

黒川 そういうことですね。結局、男性脳は長らく狩りをしながら進化してきている。荒野で危険...
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