●ボーッとしている間に実は脳が進化している
―― お母さんからしても、先生が先ほど(第3話)おっしゃったように、例えば男の子はボーッとして見えるとか、何を考えているか分からないところがあって、ついつい親は「何々したの?」と言いがちになってしまう。何を考えているか分からないからですね。
黒川 男性脳はボーッとしているのです。このボーッとしている間に、実は脳が進化しているのです。空間認知の領域を書き換えているときに、五感から入ってくる情報を遮断して、自分の脳の中の世界観を書き換えているのです。
これは、8歳までの男の子に多発します。小脳の発達臨界期が8歳で、ここまでに空間認知の能力を取りそろえていくために、8歳までにどれだけぼんやりさせたかで、のちの理系の能力が決まる。だから男の子は、ボーッとしているときはボーッとさせてあげる。
うちの息子はボーッとさせ続けてきたら、小学校1年生の2学期のある時、「ママ、今日、不思議なことがあったんだ」と嬉しそうに言うから、「どうしたの?」と聞いたら、「学校に着いたら、2時間目だったんだよ」と(笑)。その1時間がどこに消えたのか全然分からないといったことがありましたけど、立派に理系の男子に育ちましたね。
―― 普通だとおそらく、「何をやっているの~」と烈火のごとく怒るケースのほうが多いパターンの話ですね。
黒川 そういうことがあったらぜひ、1時間、脳が進化したことを喜んであげてほしいですね。
―― なるほど。
黒川 そして、自分の夫にもそうです。夜のニュースを見ながらポーッとしているご主人は、そのあいだに脳が進化していますので、「あなた、見てないでしょ」とピッとテレビスイッチを切らないで、そっとしておいてあげてほしいです。ポーッとしている男性の前で、ああでもない、こうでもないと愚痴を言って、「聞いてないの?」と言わないであげてほしい、せっかくの脳の進化の時間なので、と思います。
―― 今、多くの男性が強く頷いたのではないかと思います(笑)。男の人は何か考えごとをしているというか、考えごとをしているかどうか自覚していないけれどもボーッとしている、というのは確かにあります。
黒川 文脈ではなくて空間認知で物を整理しているので、外界の五感から入ってきたものを遮断しないと、それができないのですよね。少し女性には理解しにくいとこ...