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女の子は4歳を過ぎたら女友だちとして接するべし

黒川伊保子先生に学ぶ「子育てのトリセツ」(3)女の子は4歳で「女性」である

黒川伊保子
株式会社感性リサーチ 代表取締役社長/人工知能研究者/随筆家
情報・テキスト
子どもの自我に関していうと、男の子は自我がなかなか確立しないのに比べて、女の子はすでに4歳で一人前の自我が確立している、と黒川伊保子氏は言う。ではそのような女の子の子育てにおいて、気をつけるべきこととは何か。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:06:12
収録日:2021/06/28
追加日:2021/09/06
キーワード:
≪全文≫

●女の子は観察力がとても鋭い


―― 一方、女の子の場合がどうか。先生も本でお書きになっていますが、自我の部分でいうと、男の子の場合はなかなか自我が確立しないと。

黒川 そうなのです。対象物に夢中になって、男の子の自我というか意識は、4歳くらいになると宇宙の果てまで行っていたものです。「ママ、将来、宇宙船に乗るときに一緒に来てくれる?」などというくらいに、意識は宇宙の果てまで行くのだけど……。

―― 普通にボーッとして宇宙と交信している、といった話もよく聞きます。

黒川 そうなのです。意識は宇宙の果てまで行っているのだけど、自分の社会の窓(自分のズボンのファスナー)は開けっ放しにしたりして(笑)、女性から見るとかなりアンバランスですね。

 でも女の子は、小さな頃から自分自身への観察力が鋭い。それから、自分とお母さんとの生理的境界線が曖昧だというのは女の子の場合も一緒なのですが、お母さんに対する観察力もとても鋭いですね。お母さんが、自分が太ったのに気づく前に、娘に「太った?」と言われて、体重計に乗ったら1キロ太っていたといったことも、本当によく起こります。また、お母さん自身が下のお子さんの妊娠に気がついてないのに、お嬢さんが落ち着かなくなって、保育園の先生に「妊娠なさいました?」と聞かれて、「あ、そういえば!」となったという話なども、よく聞きますね。

 女の子の観察力は本当に驚くほどあるので、コミュニケーション能力も高いです。ニッコリ笑うし、頷くし、手を振れば振り返すし、本当にかわいいですよね。男の子のボーッとして、ムーッとしているのと比べると、本当に愛嬌があります。そうやって自分自身を知っていくので、私に言わせると、4歳でもう一人前の自我を持っている。自分が何をしたいかもはっきりしているので、私は女の子を育てるお母さんには、「4歳を過ぎたら、大切な女友だちだと思って遇したほうがスムーズですよ」と言っています。

「これを食べなさい」と女友だちに言わないでしょう? 女友だちなら「これは栄養があって肌にいいんだって。食べない? 一緒に食べようよ」と言うでしょう? それから、例えば下に小さな赤ちゃんが生まれた。そうしたら、赤ちゃんのオムツを替えたり、おっぱいをあげたりするときも、女友だちが遊びに来ていたら、いきなり始めないでしょう?「今からこの子におっぱいあげるわ」と一言かけるでしょう。

 だから、4歳のお嬢ちゃんにも、「今から(例えば下の赤ちゃんがケンという名前なら)ケンくんにおっぱいあげるね」などと声をかけてあげたら、安心してお姉ちゃんとして落ち着いていられる。それをしないので不安になって、例えば下の子が生まれて、急に感情的になるといったことが起こる。だから、もう立派な一人前の女友だちだと遇する。「早く帰らないと、ご飯を作れないわよ」とは言わずに、「ねえ、早く帰らないとカレーを作れなくなっちゃう。どうしよう」と言ってあげれば、「しょうがないわね」とブランコから下りて、帰ってきてくれるのでしょう。


●人の面倒を見ているとタフになる


黒川 女の子は女友だちとして遇すると、本当にお母さんの強い味方になってくれて、弟や妹の面倒も見てくれます。そして人の面倒を見ると、タフになれるのです。一方、面倒を見られている子はかわいそうで、タフになれない。人にちやほやされて育ってしまう、面倒を見てもらって育ってしまうと、自分が失敗したりして人をガッカリさせたくないという気持ちが強くなって、いろいろなことに手を出すなど、ややタフさが足りなくなる。

 ですが、弟の面倒を見る、何ならお母さんの面倒も見る、お父さんの面倒だって見るといった具合に少しお節介に生きてくると、いろいろなことがタフになってきます。ですから、女の子の場合は、一人前の女性として女友だちとして遇して、そして頼りにして、さらに感謝してあげるのです。

 気をつけてあげなければいけないのが、8歳までは、どんなに大人びた口を利いていても、文脈理解がやはり大人ほどではありません。そのため、勘違いをすることがあったり、大人から見ると驚くような失敗をしたりすることがある。頼りにしてもいいけれども、失敗したときに、「どうしてあなた、そんなことをしたの」などと、手伝おうと思って一生懸命やったのに、まるでいたずらをしたかのように叱られると、やはり女の子の自尊心が傷ついてしまいます。「お母さんのこと手伝ってくれようとしたのね。でも、ひっくり返してしまったのね。いいよ、いいよ」と言ってあげなければいけない。それは気をつけてあげなければいけないことだと思いますね。

 ですが、そんなときも、やはりお父さんが重要です。そうは言っても、お母さんは子育てで忙しい。お母さんだって例えば、いくら娘が手伝っ...
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