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ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界

ユダヤ神話の基本を知る

鎌田東二
京都大学名誉教授
概要・テキスト
ユダヤ神話はどのような構造と内容になっているのだろうか。世界の始まりと人類の始まり、そして文化の始まりのストーリーや死後の世界についてなど、ユダヤ神話に描かれた「この世界の成り立ち」に迫る。
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13:16
収録日:2022/01/20
追加日:2022/12/25
≪全文≫

●ユダヤ神話の「起承転結」


―― 皆様、こんにちは。

鎌田 こんにちは。

―― 本日は鎌田東二先生に、ユダヤ神話のあらましについてお話をお伺いします。どうぞよろしくお願いをいたします。

鎌田 よろしくお願いします。

―― まず、ユダヤ神話のあらすじですけれども、ユダヤ神話はどのような構造になっているのでしょうか。

鎌田 ユダヤ神話を簡単に起承転結で語ると、最初の「起」にあたるのが天地創造です。7日間で神が天地を創造し、6日目に人間の祖先であるアダムとイブをつくります。

 「承」にあたるのが、その子孫にあたるアブラハムという人物が、今のイスラエル(聖書ではカナンの地)に入っていく。神の啓示を受けて、「乳と蜜の流れる地」に行く。これが「承」にあたります。

 その後、子孫がエジプトで奴隷の境遇になっていて、奴隷の状態から民族移動して脱出させる。これをモーセが率いていく。これが「転」になるわけです。

 その後、後継者ヨシュア、士師やサムエル、預言者たちに引き継がれていき、最後の「結」で紀元前597年にバビロニアに捕囚されてしまいます。

―― これは国が敗けたということですか。

鎌田 国が敗れて、バビロニアに囚われ人になるわけですね。捕虜になってしまうわけです。そして故郷を離れて、今のイラクのほうに移住させられてしまう。そこから約60年近くたって、帰還することができたという形で「結」になり、その後、ローマ帝国に支配される。

 そのローマ帝国時代に、イエスという人物が登場して、キリスト教徒はイエスを救世主メシア(キリスト)としてあがめた。このような流れになるのがユダヤ教とキリスト教の大きなあらましになります。


●天地創造と牧畜文化の始まり


―― 次にユダヤ神話における世界の始まりについてですが、これは有名な天地創造になるわけですね。

鎌田 神が「光あれ」と言ったら光があった、また夜と昼を作ったなど、神は言葉でこの天地を創造していく。そして、神は唯一なる神である。創造する神であり唯一なる神で、言葉による創造をもたらしていく。これが世界の始まりですね。

―― 人類もその流れの一環で出てくるということですね。

鎌田 はい。6日目に人類の祖先であるアダムとイブが、土(粘土のよう...
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