東京大学の新たな挑戦
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
東京大学とパスツール研究所…進む海外との共同研究
第2話へ進む
ソーシャルグッドとは何か?東京大学の新カレッジ構想とEMP
東京大学の新たな挑戦(1)新しいカレッジの構想
近年、日本は海外へ留学する学生だけでなく、海外からの留学生も減っているという。それは、日本の大学で学ぶためには日本語をマスターしなければならず、そのことが大きな壁となっているのだ。そこで東大では、そうした留学生のハードルを取り除き、さらに日本の学生が海外へ出る足掛かりとなるような新しいカレッジを構想しており、そこで彼らのインタラクション(相互作用)に期待しているのだ。そのカレッジのコンセプトは大きく2つあるという。その具体的な内容とは。(全5話中1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13分41秒
収録日:2023年11月20日
追加日:2024年2月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本は今、留学生が少なくなっている


―― 先生、今日はどうもありがとうございます。

藤井 どうもありがとうございます。

―― 東京大学には最も優秀な人たち、意欲的な人たちがいますが、今、留学生の比率はどのようなイメージでしょうか。

藤井 海外に行くほうは、なかなか伸びていません。少ないですね。それともう1つ、海外から来るほうも含めて、今の課題は学部段階の留学生が少ないことです。

―― 留学生も少なくなってきたのですか。

藤井 ええ。海外に行く人も少ないのです。できれば卒業までに少なくとも1回は海外に短期間でも行って、海外の環境に浸る機会を設けてもらいたいと考えています。それから、海外から来るほうも増やして、その人たちとインタラクション(相互作用)できればいいなと。

 そのためには、英語で教えるクラスを増やさなくてはいけません。これまでは、英語で教える科目が少なかったために、留学生といっても基本は日本語がきちんとできないとダメだったわけです。そういった人は、学部でも全体の数パーセントもいない。大学院は30パーセントほどいるのですが。

 そのため、グローバル教育センターを(2023年4月に)つくりました。そこでは英語「を」教えるのではなく、英語「で」教えるクラスを30科目増やそうとしています。最終的に70科目ほどまで増やし、もっと留学生を増やそうという取り組みが1つ、動き出したところです。

 それをベースに今、実は新しいカレッジを構想しています。これが始まると、そのカレッジでは全てを英語で学びます。

―― それは楽しみですね。

藤井 もちろん日本人の学生も、そこへ入れます。それから、必ず海外あるいは学外で最大1年までは学びの経験を積んでくることをオブリゲーション(義務)にしようとしています。


●新しいカレッジの2つのコンセプト


藤井 これ(新しいカレッジ、カレッジ・オブ・デザイン)のコンセプトは、大きく2つあります。

 いま学部は、それぞれの分野に分かれています。法学、経済、文学、理学、農学、工学などに分かれているわけですが、全てを横断するようなプログラムをつくりたいと考えています。国際的に課題になっている、例えばサステナビリティの課題などは結局、どこかの分野だけでどうにかなる問題ではありません。いろいろな分野の知識を集めてきて、自分の問題意識や興味にし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子