ヒトの性差とジェンダー論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
結婚も競争も個人の責任…「家」の崩壊と個人化社会の現実
ヒトの性差とジェンダー論(7)「配偶」と「個人化」の問題
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
結婚・配偶者選択の文化が大きく変わっている部分もあるが、それは生物学的に見ると、どう位置づけられるのだろうか。実は、生物学的に見ただけでも、雄雌がどうやって配偶して、一緒になって、子どもを持つかということには、たくさんの対立と葛藤が潜在的にある。人間の社会生活がかつての共同体中心から個人化へ向かった現在、配偶競争も配偶者選択も全て個人の責任になってしまった。このことをどう考えればいいのだろうか。(2024年5月18日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分11秒
収録日:2024年5月18日
追加日:2024年9月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●配偶者をめぐる競争・選択・防衛と「性淘汰」


―― 最後にお聞きしたいのは、いわゆる生物学的な性差なのか、文化的なジェンダーなのかというところです。例えば必然的に生物学的に、男性と女性の中間値になる、あるいは女性と男性の中間値になるということが間違いなく存在するのは、今日のお話からも分かりました。

 ただ、大部分の人が男として、または女として生まれてくる中で、今まで文化として培われてきたものには、おそらく男性は男性に心地よい、女性は女性に心地よい部分があったでしょう。あるいは、結婚して子どもをつくるという人生のサイクルを考えたときに、それが合理的だった部分もあるかと思うのです。

 今はそれが社会的にいろいろな形で変わってきている。これは、もちろん人権の問題等々があって変わってきているわけですが、必ずしもその部分が生物学的に見てどうなのか、あるいは個々の人間として本当に心地よいのかどうかというところもあるかと思います。ここはどのように考えればよろしいですか。

長谷川 そうですね。人間の文化でジェンダーの話や社会的地位の話をするのは、いろいろ複雑で難しいと思います。昔は、私ももう少し簡単に考えていましたが、全然簡単ではないということがよく分かってきました。

 まず、生物学的には、「配偶競争」というのが(スライドの)上のほうにあります。これは、配偶者を獲得するための競争です。配偶競争で、大抵の哺乳類は雄-雄(競争)で勝ち残らないと配偶相手を見つけられない。たくさん勝ち残れば、たくさん配偶者を増やすことができるという配偶競争というものがあるわけです。

 それから、「配偶者選択」というものがあって、こちらは雌のほうが強いわけです。特に鳥などで、それがはっきり現れるのですが、配偶者を誰にするかを雌側から決める(雄から決めてもいいのですが)。(ということで)配偶競争とは別に、配偶者選択というものがあります。

 それから、「配偶者防衛」というものもあります。つまり、先ほど少し言いましたが、アザラシの勝ち残った雄が、自分のことを本当に好きではない雌を自分のそばにとどめておくために、首の後ろを噛んで行かせないようにする。これを配偶者防衛というわけです。

 そうすると、ここでみんな利害の不一致が生じるのです。配偶者選択で「私は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓