「集権と分権」から考える日本の核心
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
契機は白村江の戦い…非常時対応の中央集権国家と防人の歌
「集権と分権」から考える日本の核心(2)非常時対応の中央集権と東アジア情勢
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
律令国家は中国の先進性に倣おうと始まったといわれるが、実際はどうだろうか。当時の日本は白村江の戦いの後、唐と新羅が日本に攻め込むのではないかという危機感から「防人」という徴兵制をつくった。徴兵には戸籍を充実させる必要がある。すなわち当時の東アジア情勢において、国防という非常時対応の必要に迫られたのが、急ごしらえの中央集権国家なのである。(全7話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:11分28秒
収録日:2025年6月14日
追加日:2025年8月25日
≪全文≫

●律令制以前の日本と似た「キエフ大公国」


片山 ここに「非常時対応」と書いていますが、(律令制は)北魏から唐の時代の均田制を一つのモデルにしました。古代の日本において、遣隋使や遣唐使などに倣って日本が知恵をつけていくということを繰り返していたわけです。

 そうやって日本は7世紀に律令国家を形成するわけですが、それがなぜ奈良時代、平安時代につながっていったのかを考えていきます。中国のように皇帝を戴く国が中央集権の政治で成り立ち、官僚制を発達させていくということをしないと文明国ではないからということも、もちろん動機の一つにはあります。

 (これは)明治維新のときに日本が世界に通用する文明国になろうとして、西洋世界の仕組みを取り入れていったのと全く同じ構図です。極東の島国である日本も中国に負けないような文明国になろうとするには、中国の政治や経済や社会の仕組みを導入して、日本を中央集権国家にしていくのが(いいと)。

 (それまでの)豪族がたくさん勝手をやるような緩やかな連合体は、例えばキエフ大公国などもがそうした国でした。しかし、モンゴル人が侵入してきたときに、周囲の公国を集めて戦っても負けてしまった。裏切ってモンゴル側につく人たちも現れ、キエフも廃墟になってしまう(今ウクライナ語では「キーウ」という発音なので、「キエフ」と呼ぶと親ロシア的だという考え方もあるかもしれませんが、とりあえず一般の歴史用語に即してキエフ大公国といわせていただきます)。

 キエフ大公は皇帝ではなく大公だから、ゆるやかな連合体の盟主という感じです。他の○○公国はみなキエフ大公の言うことを聞きますということでゆるやかな連合体を形成していたところへ、モンゴル人が(つまり)チンギスカンの孫のバトゥなどが大群を率いて、ウワッと侵攻してきた。ただ、キエフ大公国はトルコ系の遊牧民などとずっと戦争をしてきました。

 ここで突然クラシック音楽の話になってしまうと何を言っているのかということになりますが、ロシアのオペラにはボロディンの『イーゴリ公』はじめ、いろいろな作品があります。それらは、みなキエフ大公国の時代を題材にしたものです。

 東側にいる遊牧民とキエフ大公国が争っていた頃、イーゴリ公という「大公」の下の位、公国の支配者である「公」がいました...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(6)高市政権誕生の影響
ポイントは財政悪化よりインフレ?…高市政権でどうなるか
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(4)ベントの死闘とプロの責任感
「これからベントをやる。メンバーを決める!」…決死の現場
門田隆将
こどもと学ぶ戦争と平和(4)人間はなぜ戦争をするのか
人間はなぜ戦争をするのか?2つの要因から問う平和の条件
小原雅博
編集部ラジオ2026(3)高市政権の行方と「明治維新」
高市政権の今後は「明治維新」の歴史から見えてくる!?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
ハラスメント防止に向けた風土づくり(2)ハラスメントと心理的安全性の関係性
ハラスメントを助長する全体主義、無関心、属人思考、圧力…
青島未佳
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹