徳と仏教の人生論
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
第2話へ進む
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
半世紀ほど前、松下幸之助に経営者の条件について尋ねた田口氏は、「運と徳」、そして「人間の把握」と「宇宙の理法」という命題を受けた。その後50年間、その本質を東洋思想の観点から探究し続けてきた。その中で後藤新平の思想に触れ、「宇宙・人生は倫理的実在」と理解する。そして、成功とは自然律との調和であり、無心・無私の姿勢がその核心にあることを悟ったという。今回はその壮大な経営の真理について学んでいく。(全6話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
時間:12分12秒
収録日:2025年5月21日
追加日:2025年10月24日
≪全文≫

●運と徳と経営、人間の把握と宇宙の理法――50年間悩み続けた命題


田口 私が30代の半ばで松下幸之助さんに会ったときに、2つの質問を、同時にしたわけではないのですが、その間があったのでしました。

 1つは、「経営者の条件は何ですか」と。経営者としての条件です。それを松下さんは、「運が強いこと」と言いました。私は予期しない答えだったので、「どうやったら運は強くなるのですか」と聞いたら、「徳を積むことだ」と言われたわけです。したがって、経営というものを考えるときに、運と徳というものを考えざるを得なくなってくるのです。

 何かそこには普遍性があるのではないかと思えば、生きるということはどういうことですかと聞いても、同じことを彼は言ったのではないかと思います。それを推察すればするほど、私がいただいたこの言葉は、簡単にいえば、松下さんは解答を私に示したと思ったかもしれないけれど、私は大いなる命題をいただいたようなわけですね。

── 命題ですね。

田口 つまり、運と徳と経営ということです。今は運と徳と人生といってもいいです。人生の要諦としてこういうものがあると。

 しばらくして、2、3年たってからですけれど、またお目にかかったときに、「経営とは何かをひと言で言ってください」と聞いたところ、要するに、ひと言ではいえないと。「ふた言じゃだめか」と言いました。そのふた言ですが、「人間の把握」と「宇宙の理法」と言われたわけです。

 「人間の把握」のほうは、分かったようなものですけれど、これも最近、この10年ぐらい前から、人間の把握という、なぜこのような分かりきったことを松下さんが言ったのかというところが、またすごい命題であり、これもよく考えてみたのです。

── なるほど。

田口 それから「宇宙の理法」のほうは、一歩も先へ進まないというぐらいに難解な言葉であったということで、省略していうと、30代から――今、私は80代ですから――50年近くこの命題で苦しんだということです。それでこの命題が、最近、この5年ぐらい前に解けたのです。

── それはすごい話ですね、50年間の命題が解けたというのは。

田口 解けたのです。それが解けたら、何か全てが解けたような気がしたのです。それで、逆に、何が分かったかというと、いろんな命題を私は預かってきたのだということがよく分かったのです。

 いろんな人が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦