わが国の防衛法制の変遷
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
テロや海賊への再度の対処でスパイラルな変化に適応
わが国の防衛法制の変遷(4)特別措置法と自衛隊の活動
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
安倍政権が提起した集団的自衛権行使と憲法解釈の問題は、日本中で論議となっている。世界の枠組みと動きによって変遷してきた日本の安全保障。その根幹となったのが憲法とともに、日米関係と防衛法制であったことに、われわれは正対する時を迎えたのだろう、と前海上自衛隊佐世保地方総監・吉田正紀氏は語る。(全4話中第4話目)
時間:13分11秒
収録日:2014年9月24日
追加日:2015年6月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●年金問題によって生じた「ねじれ現象」で「テロ特措法」終了へ


 ここで、特別措置法と自衛隊の活動、そして国会の状況について、それぞれにもう少し詳しく説明申し上げます。

 「テロ特措法」は、2001年9月11日のテロ攻撃でもたらされた脅威に対抗することを目的とする特別立法で、その目的を達成した時点で廃止されることが予定されたものです。テロ攻撃による脅威への対処という活動は、いわば一時的なものです。そこで、継続して実施することの可否については、一定期間ごとに国会の判断を仰ぐことが適当と考えられ、本法は2年を期限として、必要があれば別の法律で2年以内の延長ができるとされました。

 結果的には、2003年10月に2年、2005年10月および2006年10月にそれぞれ1年、本法の期限を延長する法改正が行われました。しかし、2007年7月の参議院選挙では、いわゆる国会の「ねじれ現象」が生じました。与党である自民党・公明党が過半数を占めない状況の下、2007年11月1日の法律の期限は延長されることなく、約6年にわたる活動が終了しました。

 当時、私は防衛駐在官として米国にいたのですが、この時の参院選挙の争点は年金問題でした。年金問題をめぐり、野党であった民主党が大勝したのです。そして、夏頃だったでしょうか。民主党が突如、「テロ特措法の延長は認めない」「インド洋の派遣は認めない」と言い出したものですから、私は何度も米国の国防省やその関係機関などに呼ばれました。

 彼らから、「年金という国内問題で国民の支持を得た民主党が、なぜ突然国際問題であるテロとの戦いやインド洋補給活動を中止すると言い出すのか、理解に苦しむ」と言われたことを覚えています。


●「不安定な平和」に適応するための、二つの特措法


 しかしながら政府は、テロとの戦いに引き続き積極的かつ主体的に取り組む必要があるとして、インド洋における補給活動を再開するべく、国会に「補給支援特別措置法案」を新たな法律として提出。衆議院における再議決・再可決により、2008年1月16日、公布・施行されました。「補給特別措置法案」は2回の延長を経て、民主党への政権交代後の2010年1月15日、同法の期限をもって失効しました。これにより、「テロ特措法」に基づく活動と合わせて、一時的な中断を挟みながらも約8年にわたって実施...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(5)ゴールドや暗号通貨への評価
ゴールドやビットコインへの評価は?…現代社会の写し鏡
養田功一郎
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
新撰組と幕末日本の「真実」(5)主要隊士、そして羽織や旗の実像
沖田総司、山南敬助、永倉新八、斎藤一…彼らの実像とは?
堀口茉純
インフレの行方…歴史から将来を予測する(4)10年後の物価…5つのシナリオ
5つのシナリオ分析…10年後の日本の物価水準はどうなる?
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
考えるとは相手の頭を使って考えること…共同で思考する意義
中島隆博