●良いプレーをするには、まず「客観視」
── ずっと以前の著書(『最強のコーチング』・講談社+α新書)ですが、その中で一番気になっている言葉に、「周辺視」という言葉があります。
清宮 今回の決勝戦も同じでしたね。今回は、自分を周辺視というか客観視しようということを、三つほどのキーワードの中の一つにしました。要は、俯瞰するということです。例えば、僕がプレーヤーだったら、ビデオを見て、「おい、おい、清宮は何しているんだ、そんなところで。お前がプレーする場所はここだろう」、あるいはタックルするシーンで、「おい、おい、なんていうタックルしているんだ。そんな格好悪いタックルするな」、というようなことですね。
それぐらい自分のプレーを余裕を持って感じられたら、自分が居なければいけない場所や、やらなければいけない仕事について判断ができ、いい得点を出せるのではないかと思うのです。
●「場」が選手の目標となる
清宮 そういう動いている中での場と、もう一つ、定点としての場があります。例えば、決勝戦という場もそうですが、ヤマハにはホームゲームという場があり、ファンが一番多い試合ですから、ホームゲームのスターティングになりたいという思いがあります。特に、初ホームゲームのスターティングメンバーになりたいというのは、やはり場として成り立っているということです。
── 役割とか、何か象徴的なものがあったりする、ステージのような場ですか。
清宮 ステージですね。だから、そこを目標とする選手たちが出てきます。
── 場がセレモニー的な意味を持ってくるということですね。
清宮 そうですね。セレクションに勝った人間がその場に立てるということです。
── そういうことを意識付けするように、場を演出することを考えておられるのですか。
清宮 そうです。演出ですね。
●選手の士気を上げる「満員プロジェクト」
── そういったストーリー的なものを清宮さんがお持ちで、一人一人の選手の場面といったものを先回りしてつくる感じなのでしょうか。
清宮 例えば、ホームゲームであれば、選手たちは「あ、ホームだよ。絶対出たい」「出場してその場に立ちたい」「勝って皆に喜んでもらいたい」「騒ぎたい」というようなことを、当たり前のように思うではないですか。でも、もしホームゲームで1000人とか2000人...