●監督就任時にプロ選手が残った幸運
── やはりすごいですね。トップリーグ11位で入替戦をやっていたチームが、4年後に日本選手権の決勝戦で勝ってしまうわけですから、これは劇的な話です。
清宮 多くの人にそう言っていただけますね。
── あれは、なかなかない風景ですよね。清宮さんがヤマハ(ヤマハ発動機ジュビロ)に行かれた時、すぐに入替戦をやっていたから、かなりびっくりしました。そんなチームに行って大丈夫なのかなと。あの時、下手をして負けていたら2部ですよね。
清宮 2部からスタートです。
── 2部から上がっていくのは大変ですよね。
清宮 すごく遠回りになっていましたね。
── 主力選手も居なくなっていましたね。
清宮 そうですね。後は歳を取っていくだけです。
── プロフェッショナル契約をしていた人が皆、居なくなってしまい、五郎丸歩選手を含め何人かが残ったくらいですよね。
清宮 いえ。居なくなったのは社員の選手です。
── 社員が居なくなったのですか。
清宮 はい。そしてプロの選手たちが社員として残ったのです。
── それはどうしてですか。
清宮 プロの選手たちは、契約が遅いのです。大体4~5月が契約時期なので、来季の状況を見てから移籍しても間に合うのです。社員の移籍は、スタートが4月なので、2~3月までに話を決めないといけません。
── 普通の会社と同じなのですね。
清宮 そうなのです。社員として移籍しますから。とにかく社員選手の移籍は、話をもらったら直ちに契約しなければいけません。そうすると、2月にシーズンが終わって、あっという間に契約のサインをしていくわけです。例えば、ヤマハの社員だった人がトヨタの社員になるとか、NTTの社員になると言ったら、家族もそんなに反対はしないではないですか。
── それはそうですね。
清宮 ですから、先に社員から行き先が決まっていったのです。残ったプロ選手たちも、すでに話は来ていたので、そろそろ行き先を確定しなければという状況だったのです。
── そこに清宮さんが現れたと。
清宮 それに近い感じかもしれません。ぎりぎりですよ。
── 清宮さんがヤマハに来るタイミングが少しでも遅れていたら、間に合わなかった可能性はありますよね。
清宮 かもしれませんね。ぎりぎりですね。