いまアメリカが日本に問う
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
安倍首相を「右寄り」に見せているのは「歴史問題」
いまアメリカが日本に問う(1)靖国参拝と歴史・外交認識
ジェラルド・カーティス(政治学者/コロンビア大学名誉教授)
安倍首相の靖国参拝は世界に衝撃を与えた。さらに側近が連発する問題発言、また「なぜ外国が口をはさむのか」と疑問を口にする若者たち。カーティス氏は、そこに日本ナショナリズムの象徴を見る。
時間:12分54秒
収録日:2014年3月6日
追加日:2014年3月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●安倍首相の靖国参拝と、アメリカの「disappoint」 

まず、今の日本とアメリカの関係の現状について分析してみます。
ご存知の通り、安倍首相が靖国参拝した結果、アメリカ側がそれに対して「失望した」というコメントを出しましたが、「disappointed」なので、「失望」とは大分ニュアンスが違ってきます。「失望」という言葉では少し強すぎるので、「懸念」ですね。
同盟国に対して、公の場でそういう批判的な言葉を使うのは、よほどのことがない限りあるべきことではないと思いますが、それだけアメリカも非常に困っているということです。日本と隣国、とりわけ中国や韓国との関係があまりにも悪化すると、アメリカも困る。そして、日本側には挑発的と見られるような行動をしてほしくない。それが、靖国の問題なのです。
しかし、日本とアメリカの関係というものは、基本的には非常に強いです。アメリカのアジア政策にとっては、日米同盟がやはり一番重要なものである。それはオバマ政権だろうとブッシュ政権だろうと、どの政権であっても大きな変わりはないと思います。

●「オバマ政権でなければ…」の見方は、「illusion」

そこで一つ気になるのは、安倍政権で彼の周辺にいる方々に、「今の日米関係が少し問題になっているのは、民主党のオバマさんが大統領だからであって、共和党だったらこういうことにはならなかった」と言う自民党の議員がいますが、それは大きな「illusion(幻想)」ですよ。
というのは、民主党政権であろうと共和党であろうと、あるいはオバマさんの代わりにジョン・マケインさんが大統領になったとしても、アメリカが北東アジアの国際情勢に向ける眼は変わらないからです。
北東アジアの情勢は、非常に流動的な状態です。尖閣や南シナ海の問題について、中国が非常にアグレッシブな態度を取っているものですから、アメリカは中国に対する牽制をする。しかし、それは中国を封じ込めるためではなく、なんとかうまく一緒にやっていきたい思いがある。そういうことをやろうとしているときに、例えば日本が靖国参拝をする。あるいは歴史についての発言で「南京事件はなかった」とか、韓国に対して「慰安婦は全然強制的ではなかった」と言う。すると、それによって北東アジアの情勢がより緊張する。それは、民主党だろうと共和党だろうと、やはり好ましくないわけで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎