テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.12.07

転職広告の「年収1000万」は本当なのか?

 「年収1000万」を掲げる求人サイトが増えています。「日本経済新聞」の記事によると、実際に「中途採用市場で年収1千万円以上の求人が増えている」のだそうです。どんな人が、どのくらい転職に成功しているのか。「年収1000万の転職」の実態を調べてみました。

採用が多い企業は「外資系企業」が65パーセント

 エンジャパンの「『年収1000万円以上の転職の実態』について(2017年版)」によると、日経新聞と同様、年収1000万円以上のポジションの採用は、37%のコンサルタントが「増えている」と回答しており、これは「昨年より約10ポイントUP」になるというのです。

 採用が多い企業は「外資系企業」が65%を占めています。多い役職は「本部長・事業部長クラス」が72%、部長・次長クラスが58%となっています。多い職種は「経営企画・事業企画」が64%、「経営者・COO・経営幹部」が55%で、他を突き放して圧倒的に多くなっています。

共通する仕事の能力とは

 注目の「共通する仕事の能力」は、順に「問題意識に基づき、課題や目標を設定する能力」「立場や価値観の違う社内外の関係者同士を調整し、まとめる能力」「自分の見解やビジョンを周囲に伝え、動かす能力」「状況に応じて臨機応変に対応する能力」「収集・分析した情報・データから、新しい価値を生み出す能力」という回答が多かったようです。

 また、「高い語学力」も挙げられており、転職者へのアドバイスとして「英語力はビジネスレベルが必要になってきている」と記されています。

8割は、スカウトやヘッドハンティング

 2015年の記事になりますが、エンジャパンの「年収1000万円以上の転職事情」によると、「年収1000万円以上の方の8割は、スカウトやヘッドハンティングで転職が決まる」とあります。そのうち、「個人の人脈・つながり」が42%、ついで「企業からの引き抜き」が20%と続いています。

 転職活動で一般的な手法である「求人サイトに登録し、求人情報に応募する」はわずか17%なのだそうです。ということは、よく見かける「年収1000万の転職」広告はあまり期待できないといえるかもしれません。「高年収の方は、自分から主体的に求人を探すのではなく、その経験や能力を買われて声がかかるケースが多い」と分析されているからです。

ヘッドハンターはいくらもらえるのか

 ちなみに、エキサイトニュースに「外資系金融マンが転職するとヘッドハンターはいくらもらえるのか」という興味深い記事があるのでご紹介します。

 「2000年代初頭、外資系金融機関に転職した経験のあるA氏」によると、「転職の際、採用してくれた上司に『ヘッドハンターにいくら払ったの?』と聞いたら、お前の年収の3割だ、と言われました」とのこと。つまり、年収1000万円の転職支援に成功すれば、ヘッドハンターは300万円の収入を得ることができるということです。

ヘッドハンティングされるためには

 スカウトやヘッドハンティングされるためにはどうすればいいのでしょう。『会社の壁を超えて評価される条件: 日本最強ヘッドハンターが教える一流の働き方』の著者・武元康明氏は「Business Journal」の記事において、「ヘッドハントされたければ社内コミュニケーションを重視せよ」と述べています。

 なぜなら、ヘッドハンターは「人からの推薦」で情報を得ることが多く、社内コミュニケーションがうまくいっている人は推薦される可能性も高まるからです。言い換えれば「現在所属する企業で得ている信頼が、紹介される企業における信頼感へとつながるわけです」ということです。自分のスキルが思ったように活かせていないのなら、転職も「選択肢のひとつに入れてみては」と武元氏は述べています。

 また、エンジャパンの記事でも「自身のスキルや経験が市場において優位性があり、かつ企業の看板が必要ないのであれば、ベンチャー企業への転職や自身で起業することを強く薦めます」とあります。

 年収1000万円の転職は決して簡単ではありませんが、求人自体は増加しており、誰にでも可能性は開かれています。夢は大きくもって、その可能性を探ってみるのはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・日経新聞:1千万円求人が増加 管理職・技術者…外資も食指
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22215140T11C17A0MM0000/
・ミドルの転職:「年収1000万円以上の転職の実態」について(2017年版)
https://mid-tenshoku.com/enquete_consultant/report_47/
・エン・ジャパン:年収1000万円以上の転職事情
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2015/2913.html
・エキサイトニュース:年収1000万円の人材紹介でヘッドハンターや転職コンサルはいくらもらえるのか
https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20171105/Toushin_4382.html
・Business journal:ベールに包まれたヘッドハンティングの驚愕の裏側…転職成功者の隠れた共通条件
http://biz-journal.jp/2017/05/post_19259_2.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

石田梅岩が唱えた「商売の基本」、不足の共有化が鍵

石田梅岩が唱えた「商売の基本」、不足の共有化が鍵

石田梅岩の心学に学ぶ(4)商売の基本と梅岩教学

石田梅岩の大きなテーマである「商売の基本」はどこにあるか。それは「不足」についての認識を共有化することだと田口氏は言う。20年の探究が実を結び、石田梅岩が講席を開いたのは1729年。以後、講席は15年続くが、本人の講義...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/04/29
田口佳史
東洋思想研究家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
4

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
5

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(2)ChatGPT開発秘話

仕事をはじめさまざまな生活シーンで多様な役割をこなすチャットボットとなった「ChatGPT」。OpenAIが公開したこのサービスが世界中を驚かせるまでには、その創業に携わったサム・アルトマンとイーロン・マスクの対立など紆余曲...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/26
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト