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DATE/ 2019.04.24

身長・体重・年収…いまの「日本人の平均」は?

 2018年8月24日に内閣府が公表した「国民生活に関する世論調査」では、“現在の生活に対する満足度”に対して、「満足」または「まあ満足」と回答した人が74.7%という結果がでました。

 この結果からは、おおむね7割の“平均的な”日本人が、“現在の生活に満足している”ということがうかがえます。

 しかし実際のところ、「日本人の平均」がどうなっているのかが気になります。そこで今回は、“いまの「日本人の平均」”を、さまざまな公的なデータからみていきたいと思います。

身長・体重・寿命:日本人の「身体」の平均

 まずは、日本人の「身体」の平均からみていきましょう。

 日本人の平均“身長”は、文部科学省の「学校保健統計調査(平成30年度)」によると、2018年度時点の17歳で、男子170.6cm、女子157.8cmとなっています。1994年度から2001年度あたりをピークに、近年は横ばい傾向が続いているそうです。

 同様に、2018年度時点の17歳の日本人の平均“体重”は、男子62.4kg、女子52.9kgとなっています。体重は、1998年度から2006年度あたりをピークに、減少もしくは横ばい傾向になっているそうです。

 一方、日本人の平均“寿命”は、厚生労働省の「簡易生命表(平成29年)」によると、男性81.09歳、女性87.26歳となっています。この結果を、WHOが「World Health Statistics 2018」で発表した世界平均の男性69.8歳、女性74.2歳と比較すると、男女ともに10歳以上長生きということになります。

年収・貯蓄・借金:日本人の「お金」の平均

 では、日本人の「お金」の平均はどうなっているのでしょうか。

 日本人の平均“年収”は、国税庁の「民間給与実態統計調査(平成29年分)」によると、432万円です。ただし、男女(男性532万円・女性287万円)ならびに、正規・非正規(正規494万円・非正規175万円)で大きな差があります。

 そこで、さらに詳しく平均“年収”の内訳をみていくと、正規の男性548万円、正規の女性377万円。非正規の男性229万円、正規の女性151万円となっており、より顕著な格差がみえてきます。

 では、“年収”のうち、どれくらいが“貯蓄”されるのでしょうか。総務省の「家計調査年報(平成29年)」によると、日本人の平均“貯蓄”は、1812万円となっています(調査対象は2人以上の世帯)。

 ただし、貯蓄100万円未満世帯が10.0%であり、平均値を下回る世帯が67.0%と約3分の2を占めています。また、より実感値に近い貯蓄ゼロ世帯を含めた中央値は、1016万円となっています。

 反対に、“借金”はどれほどあるのでしょうか。同じく総務省の「家計調査年報(平成29年)」によると、日本人の平均“借金(負債)”は、517万円となっています(調査対象は2人以上の世帯)。ちなみに、“借金(負債)”の約9割を住宅ローンが占めています。

同居・結婚・子ども:日本人の「家族」の平均

 他方、日本人の「家族」のカタチも変わってきています。

 厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成29年)」によると、日本人の平均“同居(平均世帯人員)”は、2.47人でした。世帯構造の割合は、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が29.5%、「単独世帯」が27.0%、「夫婦のみの世帯」24.0%となっており、4軒に1軒は「同居者なしのひとり暮らし」という結果が出ています。

 では、“結婚”は、どうなっているのでしょうか。厚生労働省の「人口動態統計特殊報告(平成28年度)」によると、2015年の日本人の平均の“結婚(初婚年齢)”は、夫33.3歳・妻31.1歳となっています。ちなみに、1975年は夫27.8歳・妻25.2歳でしたので、それぞれ5歳以上の晩婚化が進んでいることになります。

 同居や結婚の有無は、“子ども”の人数にも変化を及ぼしています。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(第15回・2015年)によると、日本人の家族における平均な“子ども”の人数(夫婦の最終的な平均出生子ども数)は、1.94人となっています。

 ちなみに、1940年に行われた第1回調査では4.27人でしたが、1952年に行われた第2回調査で3.50人に減少しています。ついで1972年に行われた第6回調査で2.20人となった後、2020年の第12回調査の2.23人まで30年間にわたって安定的に推移していましたが、2005年に行われた第13回調査で2.09人に低下します。さらに前回の2010年に行われた第14回調査で1.96人とはじめて2人を下回り、少子化が加速していることがうかがえます。

 いかがでしたでしょうか。平均はあくまで目安でしかありませんが、実生活を振り返る指標になってくれます。気になる「平均」があればぜひこまめにチェックして、生活の満足度とその先にある人生の幸福感を高める一助としてみてください。

<参考文献・参考サイト>
・『図解「日本の平均」なんでも事典』(インタービジョン21著、知的生きかた文庫)
・国民生活に関する世論調査 -内閣府
https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-life/index.html
・平成30年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2019/03/25/1411703_01.pdf
・平成29年簡易生命表の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/dl/life17-15.pdf
・「World Health Statistics 2018」
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/272596/9789241565585-eng.pdf?ua=1
・平成29年分民間給与実態統計調査結果について|国税庁
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/minkan/index.htm
・家計調査年報(貯蓄・負債編)平成29年(2017年) 貯蓄・負債の概要
https://www.stat.go.jp/data/sav/2017np/gaiyou.html
・平成29年 国民生活基礎調査の概況 - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa17/dl/10.pdf
・平成28年度 人口動態統計特殊報告 「婚姻に関する統計」の概況 - 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/gaikyo.pdf
・第15回出生動向基本調査 現代日本の結婚と出産 - 国立社会保障・人口問題研究所
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf
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