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DATE/ 2017.02.02

共働き・子育てがしやすい企業とは?

結婚すると男性は収入が上がり、女性は収入が下がる!?

 女性の社会進出が大きなトピックとなって久しいですが、現状はどうなのでしょうか。2013年の明治安田生活福祉研究所の調査によると、30代未婚女性の7割近くが結婚相手として年収400万以上の男性を、また3割が年収500万以上の男性を希望しているそうです。これに対して、30代未婚男性でそうした稼ぎがあるのは3割弱、5割は年収300万未満という結果が出ています。

 この状況を見れば、未婚者が多い理由の一部はわかります。しかし、これは単に女性が高望みしているという話ではありません。武蔵野大学、杏林大学兼任講師の舞田敏彦氏によると、結婚すると男性は収入が上がり、女性は収入が下がるそうです。つまり、女性で高い収入を得ているのは未婚の女性なのです。こうなれば、結婚を望む女性が相手に高収入を求めるのも当然と言えるでしょう。

共働き子育てしやすい企業は?

 一方、日経BP社の共働き子育て家庭向け情報サイト日経DUALでは「共働き子育てしやすい企業2016」TOP20社を発表しています。女性の社会進出に取り組んでいる企業100社に調査票を送り、回答を受けて選出するものです。重視された評価基準は以下の通り。

1. 男性社員の多くが(3日以上連続の)育児休業を取得しているか
2. 産育休を取得する(している・した)社員を対象に、両立支援の取り組みを実施しているか
3. 2の両立支援の取り組みには、社員の配偶者も巻き込んでいるか
4. 在宅勤務制度があり、多くの社員に利用されているか
5. 月ごとの平均残業時間が短いか
6. 恒常的な残業を削減する取り組みを行っているか
7. イクボスを増やす取り組みを実施しているか
8. 社員の保活をサポートする取り組みがあるか
9. フレックス勤務制度を取り入れており、多くの社員により利用されているか
10. 業務効率化の施策を行っているか
11.「時間当たり生産性」を社員の人事評価に入れているか
12. 性別や年齢等の属性に関係なく受けられる、キャリア教育の機会があるか
13. 経営戦略に「育児中社員の両立支援」や「働き方の改革」という視点が盛り込まれているか

 以上の項目から、時間の拘束をなるべく少なくするような取り組みや、男性の育児参加というところを重視していることがうかがえます。男女社員がともに仕事と育児を両立して行うことができるかがポイントで、男性も休みを取りやすくなる、また残業にたよらない労働形態が大事になるということです。

 ちなみに、優良とされた企業のトップ5は以下の通りです。

1位:サントリーホールディングス
2位:丸井グループ
3位:ダイキン工業
4位:日本生命保険
5位:ピジョン

より自由な労働の形が一般化するために

 今後、こうした取り組みがひろがり、長時間労働によらない効率的な労働システムが導入されれば、既婚・未婚、男性・女性という違いを超えた、より自由な労働の形が一般化するのではないでしょうか。そうなれば、長時間労働だけでなく、ワーキングプアに関する問題にも光がさすかもしれません。

 ということで、女性の社会進出にともなって、会社の労働環境がどう変わっていくのか、今後も注目していきたいところです。

<参考サイト>
・BLOGOS:正視に耐えない残酷な現実「男性の年収と未婚率」(武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文・図版)
http://blogos.com/article/203791/
・日経電子版:日経DUAL「共働き子育てしやすい企業2016」TOP20社を発表!
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO10486190Z01C16A2000000?channel=DF260120166497
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