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DATE/ 2017.10.28

人に「嫌われないため」の3つの話し方

 職場での会話や、クライアントとのやり取りで、なんだか伝わらないなぁ、と思うことはありませんか。もしくは、自分の周りが緊張しているような気がするなぁと感じたことはありませんか。もしかしたら、話し方にも問題があるのかもしれません。自分の話し方について3つのポイントから客観的に検証してみましょう。

相手の話を聞いているか。

 クライアントにとっても営業する側にとっても最善の商品があったとします。クライアントに明確な意思がない場合、この商品の提案が最も合理的であることは言うまでもありません。しかし、それだけではクライアントは納得しないかもしれません。なぜなら、あなたの提案が最も良いものである、という根拠がまだ相手の中にないからです。

 まず、クライアントにとって何が必要で、何が必要でないか、例えば今使用している商品で困っているところはどこか、といったことを営業が熱心に聞き出し、そして、それに対して「であれば、これです」という段階をきちんとたどるべきです。

 商品の売り買い一つとっても、相手への理解と共感が不可欠です。このやり取りで信頼が生まれ、初めて営業がセレクトする商品に相手は価値を見いだすのです。たとえ、結論が同じであったとしても、コミュニケーションが成り立たなければ、価値は伝わりません。

「いや」「でも」から話をしていないか。

 会社の中でのコミュニケーションを考えてみましょう。上司から注意を受けたとき、「いや、それは~」といった言い回しで応えていませんか。

 もちろん、問題がいつでも自分にあるとは限りません。また、上司はときおり理不尽な要求をしてくるものです。

 ですが、「いや」「でも」という2文字が耳に入った瞬間、受け取り手は言い訳、もしくは反論という印象を与えます。これでは、コミュニケーションは積み重なりません。

 たとえ、理不尽であったとしても、とにかくまずは相手の言葉を受け取ることから始まります。あなたに対して注意をしなければ、という気持ちが相手の中にあることは間違いないのです。その注意を受け取ったのち、冷静になってから、どういうことだったのか、検証し、どういう解決策があるか、道筋をつくりましょう。

 それでもまったく自分に非がないとすれば、相手の機嫌が悪かったのだ、もしくは勘違いか、状況がまずかっただけだと考えて流しましょう。とっさの一言で言い訳と受け取られて損するのはあなた自身なのです。

感謝の言葉を含めているか。

 チーム内で自分が指導役で忙しいと、つい「じゃこれやっといて」と頼み、あとは成果物に対して、こんなこともできないのかとばかりに問題点を延々と指摘するという人がいるかもしれません。カリスマに従う関係であれば、この方法でもいいでしょう。

 しかし、結果や立場や関係性がどうあれ、やってもらったことに対して「ありがとう」がなければ、ただの主従関係です。仕事上での上下関係と主従関係は異なります。「ありがとう。あとここをもう少し~」もしくは「いいね!」「オッケー!」、の後に「ただ、ここだけど~」というのでもいいかもしれません。その場でさっと相手を尊重する一言が言えるかどうかで関係は変わります。

 お互いが尊重される実感がなければ、労働環境は一瞬で厳しい場所に変化します。私たちがそのようなマッチョな場所で生きなければならない理由はありません。「あいつは鍛え直さなければ」という考えで感謝どころではないという人もいるかもしれませんが、感謝できないなら鍛えることはできません。相手とコミュニケーションの通路があるからこそ、相手は自分の話に耳を傾けます。ここではじめて気づきや変化が起こるのです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授