テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.10.20

無意識にやってるかも…会社の「老害」の特徴

 「健康」というと、ふつうは医学や栄養学を思い浮かべますが、社会学的な視点からアプローチする「健康社会学」という分野がここ最近注目されています。

 『他人をバカにしたがる男たち』の著者であり、健康社会学者の河合薫氏の研究テーマはとくに興味深く、社会にはびこる「他人をバカにしたがる人」、すなわち「ジジイ」の生態を分析しています。

 なぜ、日本社会はジジイ化が進んでいるのでしょうか。健康社会学という視点から日本を覗いてみましょう。

女性の中にも「ジジイ」はいる

 「ジジイ」とは何か。河合氏は「日経ビジネス オンライン」のインタビューにおいて「『既得権益』をリソース(対処資源)としている人たち」と答えています。

 「駅やコンビニで暴言を吐く」「上だけを見て仕事する」「反論してこない人にだけ高圧的」「相手の肩書き・学歴で態度が別人」、また、「前例がない」「そんなことやって責任を取れるのか」が口癖。これらもみんな「ジジイ」の特徴です。

 このように「ジジイ」は、「自己保身」に長けており、組織内で得た「既得権益」を振りかざすような人たちであり、そこには女性も含まれます。ジジイ化は女性の中でも進んでいるのです。

「ジジイ」とクラッシャー上司と老害

 河合氏は「ブランド」で大学や企業を選ぶ時点で「ジジイ化」は始まっていると述べています。

 「ジジイ」は「クラッシャー上司」を彷彿とさせます。クラッシャー上司とは、「部下を精神的に潰しながら、どんどん出世していく人」のこと。実際に、河合氏は『クラッシャー上司』の著者である松崎一葉氏と「日経ビジネス オンライン」において、「上司と部下の力学」というテーマで対談しています。

 無理やりまとめると、「ジジイ」や「クラッシャー上司」は「老害」という言葉に集約できるかもしれません。

老害度チェック!

 日本経済新聞は「老害度チェックリスト」を公開しています。項目は以下の通りです。もし、6つ以上当てはまれば「立派な老害」、3つ以上なら「老害候補」とのこと。

(1)自分の若いころと比べ、つい若い世代の仕事のやり方に口出ししてしまう
(2)つい自分の体験談や自慢話をしてしまう
(3)以前の人間関係を引きずり、昔の部下や後輩に命令口調で話してしまう
(4)経験が豊富にあるので、若手にはできないことが自分にはできると思う
(5)デジタル技術にうとく、エクセルやパワーポイントの資料作成を人に頼んでしまう
(6)電話を取るのは若手の仕事だと思っている。電話に出ても相手の言葉にいらいらして、横柄に話してしまう
(7)定年後も働く理由について「家にいると妻や家族が嫌がるから」「健康のため」など、周囲の士気が下がることを言ってしまう
(8)冗談のつもりでも「給与が半分になったから、仕事も半分しかしない」など、やる気を疑われる発言をする
(9)人の話を聞かなくなった、とよく言われる
(10)「この仕事は自分に合わない」と、与えられる仕事のより好みをする

 作家の斎藤美奈子氏は『他人をバカにしたがる男たち』を読んで「カタカナ多めのビジネス書だけど、自分を振り返るにはいいかも。私もちょっとヤバイです」と書評に漏らしています。

 いつのまにか、「ジジイ」「クラッシャー」「老害」なんてことにならないように、日頃から気をつけましょう。

<参考サイト>
・『他人をバカにしたがる男たち』(河合薫著、日本経済出版社)
・『クラッシャー上司』(松崎一葉著、PHP研究所)
・日経ビジネス オンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/100300125/
・ 河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学「窮地のクラッシャー上司は、あの言葉を繰り返す」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/031600097/?P=2
・日本経済新聞:「老害度」10項目でチェック
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO94103800X11C15A1I10000/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想

「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
柿埜真吾
経済学者
2

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性

アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
3

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?

トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授