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DATE/ 2017.12.18

「彼女いない歴=年齢」の20代が増加中!

 恋人がいたことがない、そんな若者が増えているのはご存知でしょうか。若者の恋愛離れが叫ばれて久しい昨今ですが、2015年に発表された国立社会保障・人口問題研究所の調査ではその結果が数字として表れていることがわかります。調査によると異性の交際相手をもたない若者の割合は18~29歳の男性で約71%、女性は約63%と、ここ10年で最も高い水準を示しているのです。

 さらに、恋愛離れとともに進んでいるといわれる、若者の「草食化」を裏付けるデータも出ています。同調査によると、10代~20代の若者のうち「性経験のない未婚者割合」が右肩上がりに増えているというのです。

性経験のない未婚者の割合

(男性)
・10代後半男性 60.7%→68.5%→72.8%
・20代前半男性 33.6%→40.5%→47.0%
・20代後半男性 23.2%→25.1%→31.7%
・30代前半男性 24.3%→26.1%→25.6%
(女性)
・10代後半女性 62.5%→68.1%→74.5%
・20代前半女性 36.3%→40.1%→46.5%
・20代後半女性 25.1%→29.3%→32.6%
・30代前半女性 26.7%→23.8%→31.3%
※数値は2005年→2010年→2015年の調査結果

 ここ10年の数字を見てみると、若者の間で性経験のない割合が右肩上がりに増えていることがわかります。さらに婚姻率、婚姻数も低い水準となっており、生涯未婚率が上昇していることも報じられています。

 性経験もない、結婚もしない若者が増えていくことは、ダイレクトに少子化を助長する要因にもなります。高齢化の進む日本で少子化に歯止めをかけられなければ、高齢者の生活を支えるための若者の数が不足するといった社会問題もこれから続々と現れてくることでしょう。

恋愛離れは歯止めがかかっている?

 こうした問題に眉をひそめる一方で、若者の恋愛離れには歯止めがかかってきているという喜ばしいニュースもあります。オーネットが2017年1月に実施した未婚の新成人600人に対するアンケートによると、男性の54.3%、女性の63.7%が恋愛経験ありと答えたことがわかりました。

 さらに現在恋人がいると答えたのは全体の30.7%と、約10年ぶりに30%台を越えたといいます。減少傾向にあった結婚への意欲も3年ぶりに増加している結果も出ていて、今後若者の恋愛離れの実情が改善していく兆しも見えています。

少子化を食い止めるためには

 このように若者の意識はこれから変化していくことが期待できるともいえます。とはいえ彼らが結婚したい、子どもを育てたいと思ったときに、現実に阻まれてしまうようでは、彼らは踏み切ることができません。安定した収入がない、子どもの預け先が見つからないなど、若者が結婚に踏み切れない問題はまだまだ山積みです。しかし高齢化の進む日本で少子化問題は一刻も早く解決しなければ、国家が破綻してしまう可能性を打ち消すことができませんよね。

 いま求められていることは、これらを解決するための政策を打ち出し、環境を整えていくこと。若者が結婚したい、子どもを育てたい社会になっていくことを願うばかりです。

<参考サイト>
・国立社会保障・人口問題研究所:第Ⅰ部 独身者調査の結果概要
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html03.html
・内閣府:第1部 少子化対策の現状と課題
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webhonpen/html/b1_s1-1-3.html
・株式会社オーネット:草食化・恋愛離れといわれる若者も実は恋愛している!交際経験がある新成人は59.0% 結婚への意欲も79.0%と昨年から大幅に伸長!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000022091.html
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小原雅博
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