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寝ても起きても疲れが取れない病気とは?
熱にうなされて何も考えられない、身体の節々が痛んでトイレに行くのさえ息も切れ切れ……どんなに健康な人でも「鬼の霍乱」という言葉があるように、一度はインフルエンザや「はしか」で身動きさえままならない辛さを体験したことがあるのでは。
そんなインフルエンザにかかったような苦しみがずっと続き、全身が消耗して身体の自由が奪われてしまう「慢性疲労症候群」という病気があるのをご存知でしょうか?
しかし、「慢性疲労症候群」はそれとは違い、休んだだけでは改善されません。症状は多岐にわたり、日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、微熱、リンパ筋腫脹、頭痛、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下などがあげられています。発症年齢は平均32歳と若年性の病で、健康な人でもある日突然発症する恐れがあるそうです。
現段階では病気の原因も定かになっていません。細菌・ウイルス説や脳内の炎症によるという説、特定の遺伝子の異常など、今なお調査研究中の段階です。よって治療法も確立しておらず、薬物療法や温熱療法などが試されている状況です。海外からは抗がん剤、免疫調整剤のリツキシマブが有効ではないかという報告が出ているようです。
厄介なことに、慢性疲労症候群は一般的な検査では数値に異常が見られず、発見が遅れる原因にもなっています。一般的にも知られていないため、「リウマチ」や「うつ病」などの似たような症状の出る他の病気と誤解して、畑違いの治療を受けているうちに病が進行してしまった例もあるようです。
そんなつらい病気ですが、慢性疲労症候群へのサポートは決して充実しているとは言えません。専門医がほとんどおらず、疾病として医学会に報告されたのが1988年と比較的新しいこともあり、医師の間でも理解が低いことが問題になっています。
さらに悪いことに、国の指定難病や障害者総合支援法の対象外のため、行政からの支援が受けられないことも患者さんたちにさらなる負担を強いています。現段階では慢性疲労症候群に適用できる法令がなく、自治体によっては、障害者手帳さえ発布してくれないと嘆く声も出ている状況です。
「慢性疲労症候群……わたしもそうかもなぁ、このところ疲れがとれなくてさ」
なんて、「慢性疲労」という字面から症状が誤解されがちなのです。名前が誤解の元となり、実際の症状の深刻さとかけ離れた印象で解釈されて、ともすれば「怠け者」や「詐病」のレッテルを貼られてしまい、傷ついている患者さんも少なくないようです。
病名をもっと病状の辛さに即したものに変えてもらいたいという声が以前からあがっていて、2016年の厚生労働省研究班による臨床診断基準案の改定の折には、海外で使われている名称と併せて「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」と記されました。
近代看護の生みの親であるナイチンゲールが苦しんだ病に対して、現代医学と行政が手をこまねいているなんて、皮肉以外のなにものでもありません。去る2018年5月12日、彼女の誕生日にも当たる世界啓発デーには、Twitterなどを通して慢性疲労症候群に苦しむ人たちが闘病の辛さ、困りごとなどをよく知って欲しいとメッセージが発信されました。「慢性疲労症候群」に限らず、全ての病に理解とサポートのできる社会になることが待ち望まれます。
そんなインフルエンザにかかったような苦しみがずっと続き、全身が消耗して身体の自由が奪われてしまう「慢性疲労症候群」という病気があるのをご存知でしょうか?
「慢性疲労症候群」とは?
名称だけ耳にすると「疲れがなかなか抜けずに活力が出てこない」といった想像をしてしまう病名ですが、実際は日常生活に支障が出るほど症状が重い病気なのです。「いつも疲労感がある/疲れがなかなかとれない」というような状態は「慢性疲労」と呼ばれるもので、こちらは休息と栄養を十分に取れば治ります。しかし、「慢性疲労症候群」はそれとは違い、休んだだけでは改善されません。症状は多岐にわたり、日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、微熱、リンパ筋腫脹、頭痛、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下などがあげられています。発症年齢は平均32歳と若年性の病で、健康な人でもある日突然発症する恐れがあるそうです。
現段階では病気の原因も定かになっていません。細菌・ウイルス説や脳内の炎症によるという説、特定の遺伝子の異常など、今なお調査研究中の段階です。よって治療法も確立しておらず、薬物療法や温熱療法などが試されている状況です。海外からは抗がん剤、免疫調整剤のリツキシマブが有効ではないかという報告が出ているようです。
国の指定難病外のため障害者手帳をもらえない人も
慢性疲労症候群にかかった結果、就労・通学できなくなってしまったケースも少なくないそうで、現在把握されている慢性疲労症候群に苦しむ人々のうち約3割が寝たきりになっているという調査結果が出ています。厄介なことに、慢性疲労症候群は一般的な検査では数値に異常が見られず、発見が遅れる原因にもなっています。一般的にも知られていないため、「リウマチ」や「うつ病」などの似たような症状の出る他の病気と誤解して、畑違いの治療を受けているうちに病が進行してしまった例もあるようです。
そんなつらい病気ですが、慢性疲労症候群へのサポートは決して充実しているとは言えません。専門医がほとんどおらず、疾病として医学会に報告されたのが1988年と比較的新しいこともあり、医師の間でも理解が低いことが問題になっています。
さらに悪いことに、国の指定難病や障害者総合支援法の対象外のため、行政からの支援が受けられないことも患者さんたちにさらなる負担を強いています。現段階では慢性疲労症候群に適用できる法令がなく、自治体によっては、障害者手帳さえ発布してくれないと嘆く声も出ている状況です。
「慢性疲労症候群」という名前が招く偏見と誤解
上述したように、重い病気にもかかわらず、誤解と偏見がまかり通っているのも患者さんたちの嘆きのひとつです。「慢性疲労症候群……わたしもそうかもなぁ、このところ疲れがとれなくてさ」
なんて、「慢性疲労」という字面から症状が誤解されがちなのです。名前が誤解の元となり、実際の症状の深刻さとかけ離れた印象で解釈されて、ともすれば「怠け者」や「詐病」のレッテルを貼られてしまい、傷ついている患者さんも少なくないようです。
病名をもっと病状の辛さに即したものに変えてもらいたいという声が以前からあがっていて、2016年の厚生労働省研究班による臨床診断基準案の改定の折には、海外で使われている名称と併せて「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」と記されました。
白衣の天使・ナイチンゲールも苦しんでいた
かの「白衣の天使」と呼ばれたナイチンゲールも、慢性疲労症候群で苦しんでいたひとりでした。長く医療に従事した人とのイメージがあるかもしれませんが、彼女は実際に看護師として治療に当たっていたのはクリミア戦争中の2年間で、以降はなんと50年、この病苦を背負い、看護の道を病床から著述で説いたと伝わっています。近代看護の生みの親であるナイチンゲールが苦しんだ病に対して、現代医学と行政が手をこまねいているなんて、皮肉以外のなにものでもありません。去る2018年5月12日、彼女の誕生日にも当たる世界啓発デーには、Twitterなどを通して慢性疲労症候群に苦しむ人たちが闘病の辛さ、困りごとなどをよく知って欲しいとメッセージが発信されました。「慢性疲労症候群」に限らず、全ての病に理解とサポートのできる社会になることが待ち望まれます。
<参考サイト>
・日本医療研究開発機構(AMED):「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班
http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/
・NHK生活情報ブログ:慢性疲労症候群 "病名を変えて!"
https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/107007.html
・日本医療研究開発機構(AMED):「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班
http://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/
・NHK生活情報ブログ:慢性疲労症候群 "病名を変えて!"
https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/107007.html
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