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DATE/ 2019.04.08

宇都宮と浜松の「仁義なき戦い」とは?

 餃子と言えば宇都宮市が有名ですが、総務省の家計調査「一世帯当たり年間餃子消費額」においては宇都宮市と浜松市が毎年熾烈な争いを繰り広げています。平成22~29年の9年間では宇都宮市4勝、浜松市5勝と激しいつばぜり合いが続いていますが、平成最後の家計調査ではどちらがこの「仁義なき餃子バトル」を制したのでしょうか。

喜びのプレスリリースを出したのはどちらの市?

 29年は宇都宮市4258円、浜松市3582円だったのに対し、30年は宇都宮市3241円と約1000円減。一方浜松市は3501円とほぼ横ばいで首位を奪還しました(30年の全国平均は2087円)。2年ぶりの奪還となった浜松市はプレスリリースまで出し、鈴木康友市長が「2年ぶりの日本一は、浜松餃子のさらなる盛り上がりにつながるものとしてうれしく思います。市としては、今後も市民の皆様はもとより、全国の皆様に浜松餃子を楽しんでいただけるよう、引き続きシティプロモーションにおける重要な地域資源として浜松餃子を全国に発信してまいります」と喜びの言葉を残しています。ちなみに浜松は「うなぎのかば焼き」部門でも圧倒的な強さを誇り、調査開始から11年連続で日本一に輝いています。

 宇都宮市は「ギョーザの街」をうたい、駅前にはギョーザ像がある他、2018年には餃子店が並ぶ市中心部の宮島町通りを「餃子通り」と名づけるほど力が入っています。平成22年までは15年連続で消費額日本一となる絶対王者でしたが、翌23年に浜松市に逆転を許すと、そこからの8年は2勝6敗と苦しい闘いが続いています。それでも佐藤栄一宇都宮市長は産経新聞の取材に対し、「順位にかかわらず、ギョーザを活用したまちづくりを推進している。今後も市の魅力を発信するため、関係団体や市民と一体となって、“ギョーザのまち宇都宮”を盛り上げたい」とコメントしていました。

意外?納豆の1位はあの市ではなく…

 この総務省の家計調査、他の項目も見てみると納得の順位、意外な順位があり興味深いのです。例えば餃子は上記の通りですが、シューマイの1位はどこでしょう。そう、崎陽軒のシウマイでおなじみの横浜市が1位です。ではカステラは?長崎市が6228円でぶっちぎりの1位。全国平均は822円ですから、8倍近いですね。菓子類で挙げられている項目がまんじゅう、ケーキ、ゼリーなどざっくりとしたくくりなのに対し、カステラが1項目として独立しているのは不思議ではありますが、何にせよ長崎市が1位です。

 では意外な順位は?納豆の消費額だと水戸納豆の水戸市かと思いきや、盛岡市が1位です。水戸市は僅差の2位でした。その代わり(?)水戸はメロンの購入金額、購入重量ともに1位でした。さつまいもは「薩摩」の名が入るくらいだから鹿児島市が1位、ではなく、徳島市が1位でした(1768円)。鹿児島市の926円は全国平均の994円さえ下回る水準です。生産量では鹿児島県が1位なのですが、鹿児島市民は意外とさつまいもを買わないのでしょうか。

 このように、総務省の家計調査にはいろいろなデータが詰まっています。あなたの出身地ではどんなものが消費されているでしょうか?調べてみると、より郷土愛が深まるかもしれませんね。

<参考サイト>
・統計局ホームページ/家計調査(家計収支編) 調査結果
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2.html
・【PRESS RELEASE】浜松市「一世帯当たり年間餃子消費額」が日本一|浜松市のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000038874.html
・ギョーザ購入、浜松1位奪還、宇都宮「順位こだわらず盛り上げる」(1/2ページ) - 産経ニュース
https://www.sankei.com/economy/news/190208/ecn1902080031-n1.html
・地域の入れ物 さつまいもの生産量の都道府県ランキング(平成29年)
https://region-case.com/rank-h29-product-sweet-potato/
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