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DATE/ 2019.01.07

2045年に秋田の人口が4割減少…他の都道府県は?

 「地方消滅」の言葉が話題になったのは2014年。当時日本創成会議座長だった増田寛也氏らが発表した、通称「増田レポート」の中で用いられたこの言葉が世間にインパクトを与えました。2040年までの間に20~39歳の女性人口が半減する自治体が全国の市町村の約半数にあたると未来像を提示。一般向けにまとめられた『地方消滅』(中公新書)は2015年の新書大賞を受賞するベストセラーとなりました。あれから3年。事態はどのように変化しているのでしょうか? 

「地方消滅」ではなく「東京1強、地方全滅」の可能性?

 増田レポートの試算は、国立社会保障・人口問題研究所が2013年3月に発表した人口推計データをもとにして行われました。5年後の今日では、新しい「日本の地域別将来推計人口」が発表されています。

 都道府県別にみた推計結果の概要としては、42道府県で2015年以後の総人口は一貫して減少し、すべての都道府県で2030年以後の総人口は一貫して減少する、とあります。2015年時点でさえ、人口が減少する都道府県数は39に上り、南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)ブロックが全体の28.4%を占めています。この傾向は今後も続き、2045年には31.9%に達するとみられています。

 2015年の総人口を100としたときの指数で見ていくと、2045年に100以上になるのは東京都だけで、沖縄99.6、愛知92.2、神奈川91.1、埼玉89.8と続きます。減少が最もはなはだしいほうから見ると、秋田58.8、青森63.0、山形68.4、高知68.4、福島68.7。なんと秋田県や青森県の人口は現在の3分の2以下にまで減ってしまうのです。人口が減ると購買力も生産力も減るため、地方では商業施設などの存続が危ぶまれています。

 都道府県別の指数(全国平均は83.7)を北から順番に並べてみましょう。

北海道74.4、青森63.0、
岩手69.1、宮城77.5、
秋田58.8、山形68.4、
福島68.7、茨城76.6、
栃木79.0、群馬78.7、
埼玉89.8、千葉87.8、
東京100.7、神奈川91.1、
新潟73.7、富山76.7、
石川82.1、福井78.1、
山梨71.7、長野76.9、
岐阜76.6、静岡79.5、
愛知92.2、三重78.8、
滋賀89.4、京都81.9、
大阪83.0、兵庫81.9、
奈良73.2、和歌山71.4、
鳥取78.2、島根76.2、
岡山84.3、広島85.4、
山口73.7、徳島70.8、
香川79.5、愛媛73.1、
高知68.4、福岡89.3、
佐賀79.7、長崎71.3、
熊本80.8、大分76.9、
宮崎74.7、鹿児島73.1、沖縄99.6

出生率の高い沖縄が健闘、西高東低の若年者人口

 2045年までの人口レースで沖縄がやや健闘しているのは、出生率が高く、0-14歳人口の割合では全国ベスト1の17.3(2015年)に位置しているため。一人の女性が生涯に産む子供の人数を示す合計特殊出生率は1.94(2017年調べ)で、全国の1.43と比較すると0.51ポイント高く、30年以上全国1位を続けています。

 0-14歳人口ベスト5は沖縄に続いて滋賀14.5、佐賀14.0、愛知13.7、宮崎13.6と西日本が優勢です。2015年時点の0-14歳人口の割合では東京は11.3と全国46位(47位は秋田10.4)。家賃の高さをはじめ子どもを育てるには不向きな環境の東京ですが、大学の多くが東京にあるために18歳人口を吸い寄せ、その後も定住するケースが多いことをデータが示しています。

 このように東京と沖縄の人口だけは2030年頃まで増え続けますが、その後は減少に転じます。65歳以上人口が2015年より2045年で圧倒的に増えるのは東京、神奈川、大阪、埼玉、愛知などの大都市部です。大都市では今後、医療・介護施設が対応しきれなくなると予想されています。

切り札は外国人労働者との共存にあり

 結論から言うと、増田レポートが警鐘を鳴らした状況は今のところ何も変わっていません。「カルトグラム」という手法で日本列島の形を人口で表すと、北海道から東北にかけてがやせ細り、東京・埼玉・神奈川などの太平洋側がぼってり太ります。

 2018年12月8日、改正入管法が成立して外国人労働者の受け入れ拡大が推進されることになりました。全国の外国人労働者は、この10年で2.5倍以上に増え、居住についてのルールを共有すること、子どもたちの教育環境を整備することなど、課題が山積みです。

 東京の少子化の影響が出て、首都圏の人口が減り始めるのは2030年頃と予測されています。外国人労働者に「選ばれない」日本になってしまうと、「お先真っ暗」であることは自明です。企業で、地域で、学校で、共存のための模索が始まっています。

<参考サイト>
・国立社会保障・人口問題研究所:日本の地域別将来推計人口
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/1kouhyo/gaiyo.pdf

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