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2019年の冬はどうなる?ボーナス予想!
2019年10月9日、トヨタ自動車の労使は冬季ボーナスについて話し合う協議会を開き、経営側が「組合員平均の支給額を『128万円(3.5カ月分)』と回答した」と発表。3.2カ月分だった今夏季ボーナスと合わせると要求水準に相当し、9年連続の満額回答となりました。
この日本のトップ企業の明るいニュースを受けてネットでは、「うらやましい!」「すごい!」「さすが!」という称賛の声とともに、「でも他企業への影響はないのでは・・・」「それに比べて我が社は・・・」といった悲嘆の声が挙がりました。
一般的に正規雇用者に対して夏季(6月~8月頃)と冬季(11月~翌1月頃)に支給され、「基本給◯カ月分支給」という企業が多いといわれています。例えば、基本給が25万円で基本給の1.5カ月分の支給という場合は、25万円×1.5カ月=37.5万円となります。
しかしボーナスにも、所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料などがかかるため、手取り金額は支給額より少なくなります(なお、健康保険と厚生年金保険については、月次給与と取り扱いが明確に違うため、計算時は特に注意を要します)。
そして大原則として、企業にボーナス支給義務はありません。労働省(現・厚生労働省)の通達にも「賞与(ボーナス)とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであつて、その支給額が予め確定されてゐないものを云ふこと」と定義されています。
さらに、特定社会保険労務士の竹内早苗氏は『まるわかり給与計算の手続きと基本(平成31年度版)』において、「通常は、会社が賞与の支給の有無を決定し、金額についても会社が決定することになっています。会社が決定した金額について、その内容を説明する義務はありません」と記しているように、金額の決定権も基本は企業側にあります。
ただし、「賞与金額について会社が決定する旨を賃金規程に明記しておかなければなりません<中略>内容に反する計算根拠を用いるときには、事前に説明をしたうえで従業員の了承を得ることが必要となります」とも併記されています。
日本経済新聞社が、上場企業などを対象に2018年と比較可能な580社の数字をまとめた2019年夏のボーナス調査では、全産業の平均支給額は前年比0.37%減の839,844円という結果が発表されました。さらに詳細について、以下の5点がまとめられています。
1)平均支給額は5年連続で80万円台となったが、7年ぶりのマイナスとなった。
2)上場企業の2019年3月期の純利益は前の期に比べ3%減で、3期ぶりに減益した。特に、自動車や機械などの製造業は8%減と落ち込み、そのマイナス分を商社や通信など非製造業が5%増で下支えする結果となった。また、業績連動で支給額を減らした企業が目立っている。
3)回答額の1位はディスコ、2位は東京エレクトロンであった。両者は半導体製造装置大手で、どちらも200万円台と高水準の支給をしている。しかし、スマートフォン市場の減速や半導体市況の悪化を受けた形で、それぞれ6.10%減、15.37%減となっている。
4)業界別では繊維や鉄鋼、不動産・住宅などが前年割れとなった。金属などの副原料価格や資材費、物流費などの上昇によるコストの増大や、国内の製鉄所の操業トラブルによる販売数量の減少などが影響している。一方で、石油や造船では支給が増加した。
5)人手不足に悩む中小企業は3.14%増で、10年連続で増加した。特筆すべきは、従業員300人未満の企業で支給額が首位となった化学メーカーの日本精化で、化粧品大手の増産に伴う原料の販売の好業績を従業員に還元し、18.53%増の1,183,800円を支給した。
【ボーナスの一人平均(民間企業)】
2014年度:夏季370,550円、冬季375,431円;合計745,981円
2015年度:夏季356,791円、冬季370,367円;合計727,158円
2016年度:夏季365,008円、冬季370,162円;合計735,170円
2017年度:夏季366,502円、冬季380,654円;合計747,156円
2018年度:夏季383,879円、冬季389,926円;合計773,805円
上記のデータから、1)夏季と冬季にあまり大きな差がない、2)夏季のボーナスより冬季のボーナスが5千円から1万円ほど高くなっている――ことがわかります。このため、2019年の冬季のボーナスも、2019年の夏季と同じか若干ではあるものの高くなる企業が多いのではと予想されます。もちろん、夏季のボーナスの方が多い賃金規定がある、業績が著しく悪化しているなどは、その限りではありません。
なお、前述の日本経済新聞社のデータと「毎月勤労統計調査」では、支給額に大きな隔たりがあります。これは調査対象企業が違うことが影響しており、後者の方がより多様な企業を対象としています。そのため、より多くの人が「毎月勤労統計調査」の方の実感値として感じられるのではないでしょうか。そして、日本経済新聞社が発表しているデータには、近未来の社会や経済にとって重要なヒントが、たくさん詰まっているように思います。
冒頭で紹介したトヨタ自動車の9年連続の満額回答が発表された同日の、2019年10月9日に吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞されました。吉野氏は、現役時代に一般企業に勤められたいわゆる“サラリーマン研究者”でもあったため、この朗報に多くのビジネスパーソンがよりいっそうに勇気づけられたと思われます。
また、現時点での日本の基幹産業ともいうべき自動車産業の今後の展開とともに、次なる基幹産業の担い手としてのポテンシャルを大いに保持している化学産業にとっても、明るく喜ばしいニュースでした。
ビジネスパーソンのモチベーションの源泉に、やはりサラリーでの報応は欠かせません。また企業にとっては、節税対策にもなるという利点があります。消費税増税の影響や労働市場の急激な変化など経済不安はなくなりませんが、期待が込められた冬季ボーナスでの褒賞が、今なによりも第一線で活躍するビジネスパーソンに望まれているように思います。
この日本のトップ企業の明るいニュースを受けてネットでは、「うらやましい!」「すごい!」「さすが!」という称賛の声とともに、「でも他企業への影響はないのでは・・・」「それに比べて我が社は・・・」といった悲嘆の声が挙がりました。
ボーナスの基本と一般
ボーナスとは、「通常の賃金以外に特別に支給される現金給付」を指します。また、賞与とも呼ばれます。一般的に正規雇用者に対して夏季(6月~8月頃)と冬季(11月~翌1月頃)に支給され、「基本給◯カ月分支給」という企業が多いといわれています。例えば、基本給が25万円で基本給の1.5カ月分の支給という場合は、25万円×1.5カ月=37.5万円となります。
しかしボーナスにも、所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料などがかかるため、手取り金額は支給額より少なくなります(なお、健康保険と厚生年金保険については、月次給与と取り扱いが明確に違うため、計算時は特に注意を要します)。
そして大原則として、企業にボーナス支給義務はありません。労働省(現・厚生労働省)の通達にも「賞与(ボーナス)とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであつて、その支給額が予め確定されてゐないものを云ふこと」と定義されています。
さらに、特定社会保険労務士の竹内早苗氏は『まるわかり給与計算の手続きと基本(平成31年度版)』において、「通常は、会社が賞与の支給の有無を決定し、金額についても会社が決定することになっています。会社が決定した金額について、その内容を説明する義務はありません」と記しているように、金額の決定権も基本は企業側にあります。
ただし、「賞与金額について会社が決定する旨を賃金規程に明記しておかなければなりません<中略>内容に反する計算根拠を用いるときには、事前に説明をしたうえで従業員の了承を得ることが必要となります」とも併記されています。
2019年の夏季ボーナス事情
では、直近の2019年の夏季ボーナスは、どのような趨勢だったのでしょうか。日本経済新聞社が、上場企業などを対象に2018年と比較可能な580社の数字をまとめた2019年夏のボーナス調査では、全産業の平均支給額は前年比0.37%減の839,844円という結果が発表されました。さらに詳細について、以下の5点がまとめられています。
1)平均支給額は5年連続で80万円台となったが、7年ぶりのマイナスとなった。
2)上場企業の2019年3月期の純利益は前の期に比べ3%減で、3期ぶりに減益した。特に、自動車や機械などの製造業は8%減と落ち込み、そのマイナス分を商社や通信など非製造業が5%増で下支えする結果となった。また、業績連動で支給額を減らした企業が目立っている。
3)回答額の1位はディスコ、2位は東京エレクトロンであった。両者は半導体製造装置大手で、どちらも200万円台と高水準の支給をしている。しかし、スマートフォン市場の減速や半導体市況の悪化を受けた形で、それぞれ6.10%減、15.37%減となっている。
4)業界別では繊維や鉄鋼、不動産・住宅などが前年割れとなった。金属などの副原料価格や資材費、物流費などの上昇によるコストの増大や、国内の製鉄所の操業トラブルによる販売数量の減少などが影響している。一方で、石油や造船では支給が増加した。
5)人手不足に悩む中小企業は3.14%増で、10年連続で増加した。特筆すべきは、従業員300人未満の企業で支給額が首位となった化学メーカーの日本精化で、化粧品大手の増産に伴う原料の販売の好業績を従業員に還元し、18.53%増の1,183,800円を支給した。
夏季と冬季、ボーナスに違いはあるの?
他方、厚生労働省の発表している「毎月勤労統計調査」によると、2014~2018年度の夏と冬に民間企業で支給されたボーナスの一人平均は、以下のようになっています。【ボーナスの一人平均(民間企業)】
2014年度:夏季370,550円、冬季375,431円;合計745,981円
2015年度:夏季356,791円、冬季370,367円;合計727,158円
2016年度:夏季365,008円、冬季370,162円;合計735,170円
2017年度:夏季366,502円、冬季380,654円;合計747,156円
2018年度:夏季383,879円、冬季389,926円;合計773,805円
上記のデータから、1)夏季と冬季にあまり大きな差がない、2)夏季のボーナスより冬季のボーナスが5千円から1万円ほど高くなっている――ことがわかります。このため、2019年の冬季のボーナスも、2019年の夏季と同じか若干ではあるものの高くなる企業が多いのではと予想されます。もちろん、夏季のボーナスの方が多い賃金規定がある、業績が著しく悪化しているなどは、その限りではありません。
なお、前述の日本経済新聞社のデータと「毎月勤労統計調査」では、支給額に大きな隔たりがあります。これは調査対象企業が違うことが影響しており、後者の方がより多様な企業を対象としています。そのため、より多くの人が「毎月勤労統計調査」の方の実感値として感じられるのではないでしょうか。そして、日本経済新聞社が発表しているデータには、近未来の社会や経済にとって重要なヒントが、たくさん詰まっているように思います。
冒頭で紹介したトヨタ自動車の9年連続の満額回答が発表された同日の、2019年10月9日に吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞されました。吉野氏は、現役時代に一般企業に勤められたいわゆる“サラリーマン研究者”でもあったため、この朗報に多くのビジネスパーソンがよりいっそうに勇気づけられたと思われます。
また、現時点での日本の基幹産業ともいうべき自動車産業の今後の展開とともに、次なる基幹産業の担い手としてのポテンシャルを大いに保持している化学産業にとっても、明るく喜ばしいニュースでした。
ビジネスパーソンのモチベーションの源泉に、やはりサラリーでの報応は欠かせません。また企業にとっては、節税対策にもなるという利点があります。消費税増税の影響や労働市場の急激な変化など経済不安はなくなりませんが、期待が込められた冬季ボーナスでの褒賞が、今なによりも第一線で活躍するビジネスパーソンに望まれているように思います。
<参考サイト・参考文献>
・「トヨタ、ボーナス満額回答 異例の秋交渉で冬季分決着」、『朝日新聞デジタル』(2019年10月9日)
・「ボーナス」、『日本大百科全書』(小学館)
・労働基準法の施行に関する件(昭和22年09月13日発基第17号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1896&dataType=1&pageNo=1
・『まるわかり給与計算の手続きと基本(平成31年度版)』(竹内早苗著、労務行政)
・「夏のボーナス0.37%減、7年ぶりマイナス 本社調査」、『日本経済新聞 電子版』(2019年7月10日)
・毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査) 結果の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html
・「ノーベル化学賞に吉野彰さんら リチウムイオン電池開発」、『朝日新聞デジタル』(2019年10月9日)
・「トヨタ、ボーナス満額回答 異例の秋交渉で冬季分決着」、『朝日新聞デジタル』(2019年10月9日)
・「ボーナス」、『日本大百科全書』(小学館)
・労働基準法の施行に関する件(昭和22年09月13日発基第17号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1896&dataType=1&pageNo=1
・『まるわかり給与計算の手続きと基本(平成31年度版)』(竹内早苗著、労務行政)
・「夏のボーナス0.37%減、7年ぶりマイナス 本社調査」、『日本経済新聞 電子版』(2019年7月10日)
・毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査) 結果の概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html
・「ノーベル化学賞に吉野彰さんら リチウムイオン電池開発」、『朝日新聞デジタル』(2019年10月9日)
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