テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.10.20

地方移住希望ランキング!上位の都道府県は?

 地方への移住を希望する人が増えています。総務省の調査によると、平成30年度中に受け付けた相談件数は、全体で約298,000件と前年度から約38,000件増加したとのこと。東京一極集中が進んでいますが、一方では東京から出ようとする動きも活発化しているようです。では移住を望む人たちはどういった場所を求めているのでしょうか。ここでは総務省の相談件数に関する統計をもとに詳しく見てみましょう。

移住相談件数トップは長野県

 移住相談に関しては、自治体が設けている移住相談窓口や、イベントといった機会があります。これらを総合して、相談件数の多かった都道府県ランキング、トップ10は以下の通りです(数値は合計相談件数)。

1位 長野県 18,142
2位 新潟県 16,456
3位 石川県 14,855
4位 北海道 13,844
5位 兵庫県 13,686
6位 富山県 12,756
7位 福島県 11,774
8位 福井県 10,730
9位 高知県 10,509
10位 静岡県 9,981

長野なら東京都の二地域居住が可能

 長野県と言えば、山、川、湖、森といった自然が豊かで、かつ軽井沢を代表とするような、ブランド化された避暑地もあります。さらには豊かで過ごしやすい高原が広がり、夏は各種スポーツの合宿が行われ、冬はウィンタースポーツも盛んです。また、長野は東京へも比較的近いことから、二地域居住、ダブルワークにも人気があるようです。例えば、長野県の移住ポータルサイトには「二地域居住を楽しもう」というコーナーで体験談が紹介されています。

 これによると、週3日は東京で働き、他の日は長野県内でシェアオフィスを運営しているという方もいるようです。山や森といった自然を感じながら働きたい人に魅力的な場所と言えるのではないでしょうか。また、「日本で最も美しい村」に認定された高山村は、新たに創業する個人や法人に対して補助費を支援する「創業支援補助」といった取り組みも行われています。

新潟の積極的な取り組みと暮らしやすさ

 2位の新潟県は、言わずと知れた米どころということもあり、新規就農には力を入れているようです。また、米だけではなくぶどうや柿といった果樹園での就農も期待されています。また、新潟県では里山移住体験ツアーを開いたり、魅力を積極的にSNSで発信したりするなど、アピールの場を多く設けている点も移住相談件数が多いポイントのようです。

 新潟へのUターン・Iターン総合サイト「にいがた暮らし」では、経済的な安定性が押し出されています。これによると、新潟での収入は東京の8割程度とのことですが、食費や生活費、住宅購入費が安く済むメリットは大きいとのことです。また、新潟市から東京は電車でおよそ2時間弱と、地理的に交通アクセスがよく、二地域居住も実現可能です。

石川、文化の豊かさと教育レベルの高さ

 3位の石川県は人口あたりの大学等の数が全国2位、また人口あたりの人間国宝数は全国1位と、教育や伝統工芸に関して群を抜いています。また、美術館や博物館も充実しています。こういった文化的な土地の魅力に加え、平成27年に開業した北陸新幹線によって、都心へのアクセスも容易になっているあたりが、人気の背景にあるようです。

都市との距離をどう取るか

 こう見てみると、共通するポイントは、まず自然が豊かであることは間違いないでしょう。人が心穏やかにゆったりと暮らすにはまず、大切な要素です。同時に、私たちは経済活動を行わなければなりません。特に都市部から移住する人は、仕事や人間関係など、都市との結びつきを完全に断つのはなかなか大変であることも事実。やはり都市へのアクセスが比較的負担にならないことも大事かと思われます。このような要素からランキング上位の地域は選ばれるのではないでしょうか。

 ただし、4位北海道、9位の高知といった地域になると、都市への交通アクセスとはまた違う魅力があるように思われます。北海道と聞いてイメージするのは圧倒的な自然と大地、高知は燦々と降り注ぐ太陽のもとの南国感、といったものではないでしょうか。このあたりは、むしろ、都市的なものと距離があることが魅力になっているのでしょう。

<参考サイト>
・平成30年度における移住相談に関する調査結果(移住相談窓口等における相談受付件数等)|総務省
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei08_02000183.html
・ふるさとに逢える 楽園信州 心が澄む・信州に住む | 長野県の移住ポータルサイト
https://www.rakuen-shinsyu.jp/
・にいがた暮らし - 新潟へのUターン、移住情報が満載!
https://niigatakurashi.com/
・就農にいがたスタートナビ
https://syunou-niigata.jp/
・石川県へのUIターン・移住したい人のためのポータルサイト|いしかわ暮らし情報ひろば
https://iju.ishikawa.jp/charm/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想

「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
柿埜真吾
経済学者
2

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性

アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
3

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?

トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授