50代で考える「親の介護」…課題と準備とは
2021年9月、厚生労働省の集計により100歳以上の高齢者が8万6,510人いることが分かりました。前年の8パーセント増という驚くべきスピードで日本の高齢者は増えているのです。もちろん、日本がこれほどの長寿大国であるというのは良いことではあるのですが、一方で気になるのが「親の介護」という問題です。
親が100歳なら子ども世代は70代、80代ということも大いにあり得ます。老老介護は切実、かつ現実的な問題として現役世代の皆さん、特に50代の方の肩にのしかかってくるのも、そう遠い将来のことではありません。今回は、親の介護をどのように考え、備えていけばいいのかについて基本的なことを、介護・暮らしジャーナリストとして執筆・講演活動も豊富な太田差惠子氏に伺いました。
このようなとき注意すべきは、介護者はとにかくあわてず、「施設入所か、介護離職か」などと極端な二択に走らないこと。太田氏は「介護はプロジェクトと捉えましょう」とアドバイスをしています。子ども世代は自分をそのプロジェクトリーダーと考え、ことにあたるのが肝要だということです。
そして、マネジメントの第一歩は状況把握です。親は何ができて、何ができないのか。そのできないことは自分や家族でサポートできることなのか。サポートしきれない部分は介護保険をはじめとする公的制度やサービスを利用して、解決の糸口にしましょうというのです。
ただ、そうした公的制度やサービスを利用するには契約行為を伴うことがほとんどで、もろもろの支払いも生じてきます。そうしたとき、その契約のことやお金の管理などが必要になってきます。実際の費用は親の年金や貯蓄などでやりくりすることを前提として考えることがポイントとなりますが、そうしたさまざまなことの相談、判断がマネジメントの役割となってきます。
ところで、介護のスタートにあたっては積極的に介護保険を利用したほうがよいのですが、親世代のなかには「介護サービスの世話にはなりたくない」と言う人も少ないといいます。たとえば「ヘルパーなど他人が家に入るのはいやだ」とか「他の年寄りと一緒のデイサービスなど行きたくない」など。このような言葉が親の口からよく聞かれます。
もし、ご両親が「他人の世話になりたくない」というタイプならば、普段お世話になっている主治医の先生にひとこと話をしてもらうのも手、というのが太田氏のアドバイスです。子どもの言うことはなかなか聞かなくても、「先生」という肩書きを持つ人の話なら素直に聞いてくれるのではないかということです。
また、介護保険は室内に手すりをつけるなどの改修工事、歩行器や杖などのレンタルといったことにも活用できるので、そのことを伝えて「利用してよかったね。費用も安く収まったし、助かったね」と心理的なバリアを取り除いていくことも大事でしょう。
「介護」は人生後半にやってくる一大プロジェクトだと考えると、「なんとかなるだろう」「まだ大丈夫だろう」ではなく、「いつ来ても大丈夫なように」と備えておく。先述しましたが、「介護は突然に始まる」ということを頭に入れて、思い立ったときに進めておきたいですね。“備えあれば憂いなし”です。
親が100歳なら子ども世代は70代、80代ということも大いにあり得ます。老老介護は切実、かつ現実的な問題として現役世代の皆さん、特に50代の方の肩にのしかかってくるのも、そう遠い将来のことではありません。今回は、親の介護をどのように考え、備えていけばいいのかについて基本的なことを、介護・暮らしジャーナリストとして執筆・講演活動も豊富な太田差惠子氏に伺いました。
介護はプロジェクト、介護者はプロジェクトリーダー
親の介護は多くの場合、ある日突然に始まります。親が急な病気やケガで入院したとします。幸い大事には至らなかったものの、ある程度回復に向かえば退院することになります。そうなると、退院後の親の生活支援・サポートの必要に迫られる、というパターンが多いのです。このようなとき注意すべきは、介護者はとにかくあわてず、「施設入所か、介護離職か」などと極端な二択に走らないこと。太田氏は「介護はプロジェクトと捉えましょう」とアドバイスをしています。子ども世代は自分をそのプロジェクトリーダーと考え、ことにあたるのが肝要だということです。
直接介護はプロに任せて、マネジメントに徹する
また、プロジェクトリーダーがすべての直接介護に関わる必要はありません。介護イコール「入浴、排泄、食事の介助」などと考えがちですが、いわゆるこうした直接介護はプロの手に任せて、自分はマネジメント面を担当することを勧めています。そして、マネジメントの第一歩は状況把握です。親は何ができて、何ができないのか。そのできないことは自分や家族でサポートできることなのか。サポートしきれない部分は介護保険をはじめとする公的制度やサービスを利用して、解決の糸口にしましょうというのです。
ただ、そうした公的制度やサービスを利用するには契約行為を伴うことがほとんどで、もろもろの支払いも生じてきます。そうしたとき、その契約のことやお金の管理などが必要になってきます。実際の費用は親の年金や貯蓄などでやりくりすることを前提として考えることがポイントとなりますが、そうしたさまざまなことの相談、判断がマネジメントの役割となってきます。
公的機関や介護保険を積極活用する
そこで、マネジメントとして大事なことに情報収集があります。今、早急に解決すべき課題は何なのか。これを見極め、そのための情報収集です。太田氏も「介護は情報戦」と話しています。現在、各地域に「地域包括支援センター」があるので、これを活用すること。この地域包括支援センターを情報戦のハブと捉えて、さまざまな相談を持ちかけてみるといいでしょう。介護者がひとりでネットなどで調べるより、はるかに効率的です。ところで、介護のスタートにあたっては積極的に介護保険を利用したほうがよいのですが、親世代のなかには「介護サービスの世話にはなりたくない」と言う人も少ないといいます。たとえば「ヘルパーなど他人が家に入るのはいやだ」とか「他の年寄りと一緒のデイサービスなど行きたくない」など。このような言葉が親の口からよく聞かれます。
もし、ご両親が「他人の世話になりたくない」というタイプならば、普段お世話になっている主治医の先生にひとこと話をしてもらうのも手、というのが太田氏のアドバイスです。子どもの言うことはなかなか聞かなくても、「先生」という肩書きを持つ人の話なら素直に聞いてくれるのではないかということです。
また、介護保険は室内に手すりをつけるなどの改修工事、歩行器や杖などのレンタルといったことにも活用できるので、そのことを伝えて「利用してよかったね。費用も安く収まったし、助かったね」と心理的なバリアを取り除いていくことも大事でしょう。
「介護」は人生後半にやってくる一大プロジェクトだと考えると、「なんとかなるだろう」「まだ大丈夫だろう」ではなく、「いつ来ても大丈夫なように」と備えておく。先述しましたが、「介護は突然に始まる」ということを頭に入れて、思い立ったときに進めておきたいですね。“備えあれば憂いなし”です。