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会社人生「50代の壁」とは?江上剛氏が語る
50代というと、自分の仕事をめぐる景色が大きく変わる時期ではないでしょうか。
今回は、「仕事人生、50代の壁」と題して、作家・江上剛氏による講座を紹介します。まさに50代の方にはドンピシャの講座ですが、それ以外の方にもぜひご覧いただきたい内容です。
しかし、その後、みずほ銀行の合併の中で人生について考えるところがあり、49歳のときに退職。作家への道を進みました。それから作家として活躍しますが、2010年に日本振興銀行の代表執行役社長に就任し、経営破綻の処理に当たることになります。
ということで、江上氏自身、まさに波瀾万丈の仕事人生を歩んできたわけですが、その経験も踏まえたお話の数々は、とても考えさせられます。特に後述する「のに病」のご指摘は、深く胸に響きます。
江上氏のお話をうかがうと、「本当に人生にはいろいろなことがあるということです」という言葉に、しみじみと共感がわいてきました。
また、江上氏は、「人生には“9の坂”がある」(49歳、59歳など「9」が付く年齢が節目となる)と指摘した後で、こう喝破します。
《孔子は「五十にして天命を知る」といいましたが、50歳は天命を知るどころか、最も迷いの中に入る年でしょう》
江上氏は『会社人生、五十路の壁』(PHP新書)という本を2018年に上梓していますが、そのときよりも今のほうが、はるかに「50代の壁」は高くなっているといいます。
もちろん、こういう時代ですから、65歳まで雇用延長ができるなら、それも選択肢の一つ。一方、「不退転の決意を持って、今の職場から離れる」という選択肢もある。その判断に必要なのはどのようなことなのか。何を考えるべきなのか。それについては、ぜひ講座本編をご覧いただきたいのですが、江上氏は1つの例として、50代で出向を命じられた先で、汗だくになって「誰もが最もやりたがらない仕事をやり始めた」という知人の行動を紹介します。実はその出向先は倒産寸前の会社でした。しかし、その人はその会社の再建に成功し、後半生は「再建請負人」としての人生を歩むことになったのです。
《“人間到る処青山あり”ではないですが、人間はどこでも陰日向なく歩んでいける。欲得なく歩んでいく人生は、「ああ、いやだな。こんな出向させられて」「こんな会社に飛ばされて」「こんなポストに就かされて」「あいつは俺よりも無能だったのに偉くなりやがって」などを思う人生よりは、ずっと爽やかでいいですよね》
「ずっと爽やかでいい」……とても胸打たれる言葉です。
さらに、江上氏は「のに病になるな」とも話しています。これは江上氏のご母堂の教え。「こんなに仕事で尽くしたのに」「あんなにできない部下だったのに(俺より出世して)」などといった「~のに」をずっと思っていると、心が病んでしまう、非常に辛くなるということです。
この「のに病になるな」という教えがあったので江上氏自身も救われたし、そのアドバイスをいろいろな人にして、少なからず彼らのためになったのではないかといいます。
ほかにも、第一勧業銀行で支店長を務めていたときに退職したあと向かったハローワークでの話など、印象深いエピソードを数多く話しています。そうした経験を踏まえて、人生後半を生きていくうえで大切な考え方について、さまざまな指摘をしています。そこも、まさに必見といえましょう。
自分の生き方を見直すきっかけと、ヒントをつかむことができる講座です。ぜひご覧ください。
今回は、「仕事人生、50代の壁」と題して、作家・江上剛氏による講座を紹介します。まさに50代の方にはドンピシャの講座ですが、それ以外の方にもぜひご覧いただきたい内容です。
49歳で退職、波瀾万丈の仕事人生を歩んできた
ご存じの方も多いと思いますが、江上氏は第一勧業銀行に入行し、広報部次長だった1997年に第一勧銀総会屋利益供与事件に直面。事件の収拾に活躍します(このときのエピソードが、高杉良氏の『金融腐食列島』のモデルにもなりました)。しかし、その後、みずほ銀行の合併の中で人生について考えるところがあり、49歳のときに退職。作家への道を進みました。それから作家として活躍しますが、2010年に日本振興銀行の代表執行役社長に就任し、経営破綻の処理に当たることになります。
ということで、江上氏自身、まさに波瀾万丈の仕事人生を歩んできたわけですが、その経験も踏まえたお話の数々は、とても考えさせられます。特に後述する「のに病」のご指摘は、深く胸に響きます。
昔よりも「50代の壁」は高くなっている
まず江上氏に自身の仕事人生の歩みを振り返っていただきました。第一勧銀総会屋利益供与事件の折のこと、作家に転身したときの思い、さらに日本振興銀行の経営破綻の折のこと……。江上氏のお話をうかがうと、「本当に人生にはいろいろなことがあるということです」という言葉に、しみじみと共感がわいてきました。
また、江上氏は、「人生には“9の坂”がある」(49歳、59歳など「9」が付く年齢が節目となる)と指摘した後で、こう喝破します。
《孔子は「五十にして天命を知る」といいましたが、50歳は天命を知るどころか、最も迷いの中に入る年でしょう》
江上氏は『会社人生、五十路の壁』(PHP新書)という本を2018年に上梓していますが、そのときよりも今のほうが、はるかに「50代の壁」は高くなっているといいます。
もちろん、こういう時代ですから、65歳まで雇用延長ができるなら、それも選択肢の一つ。一方、「不退転の決意を持って、今の職場から離れる」という選択肢もある。その判断に必要なのはどのようなことなのか。何を考えるべきなのか。それについては、ぜひ講座本編をご覧いただきたいのですが、江上氏は1つの例として、50代で出向を命じられた先で、汗だくになって「誰もが最もやりたがらない仕事をやり始めた」という知人の行動を紹介します。実はその出向先は倒産寸前の会社でした。しかし、その人はその会社の再建に成功し、後半生は「再建請負人」としての人生を歩むことになったのです。
“人間到る処青山あり”
江上氏は、こういいます。《“人間到る処青山あり”ではないですが、人間はどこでも陰日向なく歩んでいける。欲得なく歩んでいく人生は、「ああ、いやだな。こんな出向させられて」「こんな会社に飛ばされて」「こんなポストに就かされて」「あいつは俺よりも無能だったのに偉くなりやがって」などを思う人生よりは、ずっと爽やかでいいですよね》
「ずっと爽やかでいい」……とても胸打たれる言葉です。
さらに、江上氏は「のに病になるな」とも話しています。これは江上氏のご母堂の教え。「こんなに仕事で尽くしたのに」「あんなにできない部下だったのに(俺より出世して)」などといった「~のに」をずっと思っていると、心が病んでしまう、非常に辛くなるということです。
この「のに病になるな」という教えがあったので江上氏自身も救われたし、そのアドバイスをいろいろな人にして、少なからず彼らのためになったのではないかといいます。
ほかにも、第一勧業銀行で支店長を務めていたときに退職したあと向かったハローワークでの話など、印象深いエピソードを数多く話しています。そうした経験を踏まえて、人生後半を生きていくうえで大切な考え方について、さまざまな指摘をしています。そこも、まさに必見といえましょう。
自分の生き方を見直すきっかけと、ヒントをつかむことができる講座です。ぜひご覧ください。
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