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日本は徴兵制を導入する必要はないってホント?
集団的自衛権の導入をめぐる安保法案。与党自民党が積極に推し進める法案で、国会を通過する可能性は大だ。
批判する側はこの法案を戦争法案とも呼ぶ。集団的自衛権によって日本がアメリカの戦争に巻き込まれるという主張に基づいた呼び名だ。
日本には戦争放棄を明記した憲法9条がある。だから、事実上の軍隊である自衛隊はあっても、直接の戦闘を経験することのないまま戦後も70年を数えた。沖縄を主とした米軍基地の犠牲はあったものの、アメリカの軍事力に守られる形で、日本人が敵の設備や財産を破壊したり、敵兵を殺し、殺されるという事態はさけることができてきた。
自衛隊の人数は、現在約25万人。予備役などを合わせると約30万人強。では、日本の最も身近な脅威である北朝鮮軍はどうだろう? なんと日本の3倍、100万人もの兵力を有している。中国はどうか。こちらも人民解放軍は200万人以上。予備役を合わせると300万人に迫り、準軍事組織である武装警察など加えると約400万人というとてつもない数になる!
たしかに第二次大戦以前の戦争は、総力戦であり、弾除けになる頭数をそろえることは勝利に重要な要素だった。しかし、技術が発達した今となっては、精密な兵器をいかに使いこなすことの方が作戦の成功には重要。たとえ少数でも、よく訓練された士気の高い兵士がいることの方が大事だということだ。
そういう兵士は徴兵制による、わずか1~2年の兵役や、戦争が始まってから慌てて招集される兵役では育たない。志願制で士気の高い、試験を経て入ってきたもともと優秀な人材をじっくりと訓練する必要がある。
現在、自衛官の中には安保法案の行く末を心配して、自衛隊を辞める人たちも出てきているという。また、自衛官の幹部養成学校である防衛大学の卒業生の任官拒否者も、今年は25人出たという。昨年よりも15人も増えて、なんと卒業生全体の5%以上だ。
戦争に慣れている国の国民だったらまだしも、日本人は70年間も戦争をしていない。しかも戦争と言われてまっさきに浮かんでくるイメージと言えば、悲惨な太平洋戦争のイメージだ。他国の国民なら、程度の差はあれ持ち合わせている、輝かしい勝利や、正義の戦いというポジティブなイメージとはほど遠い。
ではその後、アメリカの若者は軍人にならなくなったのだろうか? もちろん、そんなことはなかった。アメリカはいまだに巨大な兵力を保持し、優秀な若者を軍隊にリクルートし続けている。
その秘密が「経済徴兵制」と言われるものだ。これは、はっきりと法律で定められたものではないが、事実上の徴兵制ではないかと言われている現象だ。
アメリカは超格差社会。貧困層の若者は、ずば抜けて成績がいいか、スポーツの才能に恵まれているなどない限り大学へは行けない。大学を出なければいい職にもありつけないので、医療保険にも入れない(日本と違って国民皆保険ではないので、保険料が高い)。そういう若者はどうすれば、這い上がれるか。軍隊に入隊するのである。
軍隊に入れば、軍が大学の学費を出してくれる。軍隊に入れば、良い条件の医療保険にも入ることができ、しかも家族もその保険が使える。だから、優秀な若者がこぞって軍隊に入るのだ。
日本も、アメリカと同じように格差の拡大が進んできている。お金がなければ、塾にも通えないし、学費の上がり続ける大学にも入れない。もし、そんな若者に自衛隊が教育の機会を提供してくれたら? 民間で就職しても、低い学歴では得られない待遇を与えてくれたら?社会階層を這い上がるために、多くの貧しい若者がこぞって志願するだろう。
戦争で命を懸けるよりも、くすぶったまま下層階級で一生を終える方がゾッとするという感覚は、一億総中流と言われた時代ならまだしも、格差が開いてきた現在なら十分あり得る。徴兵制なんかなくても、格差社会があれば、強い軍隊を作ることは十分に可能だろう。
批判する側はこの法案を戦争法案とも呼ぶ。集団的自衛権によって日本がアメリカの戦争に巻き込まれるという主張に基づいた呼び名だ。
日本には戦争放棄を明記した憲法9条がある。だから、事実上の軍隊である自衛隊はあっても、直接の戦闘を経験することのないまま戦後も70年を数えた。沖縄を主とした米軍基地の犠牲はあったものの、アメリカの軍事力に守られる形で、日本人が敵の設備や財産を破壊したり、敵兵を殺し、殺されるという事態はさけることができてきた。
戦争に勝つために十分な人数はいるか?
しかし、安保法案が通ると自衛隊が直接戦火を交える可能性が出てくる。そうなると問題は軍事力である。世界有数の軍事予算がつき、最新鋭の装備をそろえているという自衛隊。しかし、問題はその頭数だ。自衛隊の人数は、現在約25万人。予備役などを合わせると約30万人強。では、日本の最も身近な脅威である北朝鮮軍はどうだろう? なんと日本の3倍、100万人もの兵力を有している。中国はどうか。こちらも人民解放軍は200万人以上。予備役を合わせると300万人に迫り、準軍事組織である武装警察など加えると約400万人というとてつもない数になる!
現代戦にそんなに人数は必要ない?
いくら金がある、装備が優れているからといって、これらの国に徴兵制なしで、軍事的に対抗できるのだろうか。しかし、そもそも数で考えること自体が前時代的な発想でナンセンスだという説がある。たしかに第二次大戦以前の戦争は、総力戦であり、弾除けになる頭数をそろえることは勝利に重要な要素だった。しかし、技術が発達した今となっては、精密な兵器をいかに使いこなすことの方が作戦の成功には重要。たとえ少数でも、よく訓練された士気の高い兵士がいることの方が大事だということだ。
そういう兵士は徴兵制による、わずか1~2年の兵役や、戦争が始まってから慌てて招集される兵役では育たない。志願制で士気の高い、試験を経て入ってきたもともと優秀な人材をじっくりと訓練する必要がある。
それでも十分な数が集まるかは疑問
そうであるなら、現在志願制であり、教育制度もよく整っている自衛隊は十分に戦い抜けるということだろうか。実は、そうとも言えない事態が発生している。現在、自衛官の中には安保法案の行く末を心配して、自衛隊を辞める人たちも出てきているという。また、自衛官の幹部養成学校である防衛大学の卒業生の任官拒否者も、今年は25人出たという。昨年よりも15人も増えて、なんと卒業生全体の5%以上だ。
戦争に慣れている国の国民だったらまだしも、日本人は70年間も戦争をしていない。しかも戦争と言われてまっさきに浮かんでくるイメージと言えば、悲惨な太平洋戦争のイメージだ。他国の国民なら、程度の差はあれ持ち合わせている、輝かしい勝利や、正義の戦いというポジティブなイメージとはほど遠い。
格差社会がリクルートの決め手に
そうなると、人は集まらない。やはり徴兵制が必要なのだろうか。実はそうでもないかも知れない。アメリカはベトナム戦争終結後、徴兵制を廃止した。ベトナム戦争は、アメリカ人の心に大きな傷を残した。反戦や厭戦のムードはしばらくぬぐえなかった。ではその後、アメリカの若者は軍人にならなくなったのだろうか? もちろん、そんなことはなかった。アメリカはいまだに巨大な兵力を保持し、優秀な若者を軍隊にリクルートし続けている。
その秘密が「経済徴兵制」と言われるものだ。これは、はっきりと法律で定められたものではないが、事実上の徴兵制ではないかと言われている現象だ。
アメリカは超格差社会。貧困層の若者は、ずば抜けて成績がいいか、スポーツの才能に恵まれているなどない限り大学へは行けない。大学を出なければいい職にもありつけないので、医療保険にも入れない(日本と違って国民皆保険ではないので、保険料が高い)。そういう若者はどうすれば、這い上がれるか。軍隊に入隊するのである。
軍隊に入れば、軍が大学の学費を出してくれる。軍隊に入れば、良い条件の医療保険にも入ることができ、しかも家族もその保険が使える。だから、優秀な若者がこぞって軍隊に入るのだ。
日本も、アメリカと同じように格差の拡大が進んできている。お金がなければ、塾にも通えないし、学費の上がり続ける大学にも入れない。もし、そんな若者に自衛隊が教育の機会を提供してくれたら? 民間で就職しても、低い学歴では得られない待遇を与えてくれたら?社会階層を這い上がるために、多くの貧しい若者がこぞって志願するだろう。
戦争で命を懸けるよりも、くすぶったまま下層階級で一生を終える方がゾッとするという感覚は、一億総中流と言われた時代ならまだしも、格差が開いてきた現在なら十分あり得る。徴兵制なんかなくても、格差社会があれば、強い軍隊を作ることは十分に可能だろう。
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