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DATE/ 2017.01.15

〇〇を考えるだけで「ストレス解消」になる?

 みなさん、ストレス対策にどんなことを行っていますか。好きなものを食べる?買い物?ペットと戯れる?それとも‥。

 NHKスペシャル「キラーストレス」という番組を見ていたら、ストレスが長くかかると、脳の海馬が損傷を受けることが分かっているとのことでした。海馬といえば、記憶を司る脳の部位ですし、ストレス解消の重要性は増すばかりですね。ではストレスへの対処法は何かないのだろうかと同番組で続けてみていたら、紹介していたのが「コーピング」と呼ばれる方法でした。

コーピングとは?

 コーピングとは、自分のストレスを客観的に観察し、それに見合った対策を行う方法で、大切なのは対策をとにかく多く準備し、試してみることだそうです。番組内では、臨床心理士の伊藤絵美さんが、自分にとってストレスが下がる方法を100個挙げてみることを勧めていました。これは、そうした方法の行動前と行動後の状態、気持ちの変化を数値化して記録・観察することで、現在の自分のストレスに対してどのような方法が効果的なのかが客観的に分かるというものです。

「行動」だけでなく「イメージ」も取り入れよう

 ストレスが下がる方法を100個も考えるのかと思うと、それだけでストレスになりそうな気がしなくもないですが、場面や行動をイメージするだけでも効果があるとのこと。たとえば、「宝くじを買う」ということは「行動」ですが、「当たった宝くじをどう使うか」と妄想してみるということでもいいのです。

 ということで、スタッフも考えてみました。とりあえず20個を挙げます。

1:テレビを見る
2 :DVDを観る
3:美術館に行く
4:甘いものを食べる
5:ネットショッピングサイトを見る
6:水族館のサイトを見る
7:水族館に行く
8:アクアリウムショップに行く
9:犬と遊ぶ
10:犬の散歩に行く
11:犬と一緒に横になる
12:犬を洗う
13:図書館で周りの音に耳を澄ます
14:カフェで仕事をする
15:電車で本を読む
16:写真を撮る
17:空港に行く
18:撮りためた写真を整理する
19:カメラを綺麗にする
20:何を食べるか考える

 ということで、20個挙げてみましたが、仕事で頭がグダグダになったとき、「テレビを見る」という方法は、はじめ効果的でした。完全にスッキリした状態を10とすれば、お笑い番組を見るだけでも6くらいはあるかと思います(普段テレビは見ません)。しかし、再び仕事で行き詰ってテレビを見ても、2度目はあまりスッキリしませんでした。

 一方、飼い犬とは普段から時々遊んでいますが、スッキリしないとき、「よし今日は思い切って遊ぶぞ!」と決めて小一時間ほども遊ぶと、だいぶスッキリして仕事に向かうことができました。数値でいうと8くらいですね。

書き出すだけで気づき(認知)が生まれる

 以上、試した体験からまとめると、気持ちが少し沈んでいるときには、日頃やり慣れていないことのほうが、効果があるように感じます。また、気持ちが追い詰められて余裕がないときには、思い切って少しの時間、完全に自分を解放するような方法をとると、効率が上がると感じました。

 そして一番収穫があったのは、とりあえず方法を一度書き出してみること。はじめは難しいなと思うのですが、だんだん楽しくなりました。自分にもやりたいことや、「楽しそうだな」と思うことがたくさんある、という気づきが生まれます。この気づき=認知が、自分をストレスから解放する第一歩なのではないでしょうか。

<参考サイト>
・NHKスペシャルシリーズ「キラーストレス 第2回」
http://www.nhk.or.jp/special/stress/02.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授