テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.02.08

パチンコでそろそろ当たるかも…と思う理由

 「パチンコで3万円もつぎ込んだんだ。そろそろ当たるかもしれないし、今さらやめられない」。このように「その先に利益があるかもしれないし、今さらやめられない」という状況に陥ってしまうのは、誰にでも経験のあることでしょう。実はこのように考えてしまうのは、脳の働きが関係しているからでもあります。

 私たちの脳は日々の生活を円滑にするために、事象を歪めて理解することが少なくありません。「こういう時にはこう認識するものだ」という経験則から、効率的に物事を認識するクセがついているのです。この思考のクセのことを心理学では「認知バイアス」といいます。

 しかし、この認知バイアスは時に事実を歪めて認識してしまうこともあります。その4つの例をご紹介しましょう。心あたりのあるものもきっとあるはずです。

続けているからこそやめられない「コンコルド効果」

 冒頭に述べた、3万円をつぎこんだパチンコをやめられないのは「コンコルド効果」と呼ばれる脳の働きのひとつです。お金や時間を費やし続けて損失が増えても、「損失の責任を負いたくない」「続けていれば報われるはず」といった気持ちからやめられない状態に陥ってしまうのです。趣味や娯楽だけでなく人間関係、投資などの経済活動でも見られる傾向ですが、あまりにもやめられないと大きな損失につながるので、注意が必要です。

成功は自分の手柄、失敗は他人のせい「自己奉仕バイアス」

 仕事で失敗した時に「運が悪かった」「周りのフォローがなかった」など自分以外の原因を探すことは多いはずです。しかし、逆に仕事での成功に対しては「自分の手柄だ」と感じるのではないでしょうか。これは「自己奉仕バイアス」と呼ばれる脳の働きです。成功は自信につながりますが、失敗した場合には自分が傷つかずに済むように、脳は無意識のうちに他人や環境などに責任転嫁して、自分が悪いのではないと思い込むようになっているのです。

相手に期待することで影響を及ぼす「ピグマリオン効果」

 「願えば叶う」は夢物語かもしれませんが、意外とそうでもないかもしれません。教育現場での実験でも、教師に期待された生徒は能力が伸びやすく、期待されない生徒は能力が伸びにくくなります。人間は期待された通りの結果を出す傾向があるこの効果は「ピグマリオン効果」とよばれます。仕事や人間関係にも活用でき、自己暗示でも効果があるので、日々の生活に取り入れたい考え方です。

先入観にとらわれすぎて偏ってしまう「確証バイアス」

 人間は無意識のうちに自分の仮説や信念に一致する情報を重要視しやすく、逆に一致しない情報については軽んじやすい傾向があります。この脳の働きを「確証バイアス」といいます。この確証バイアスは考え方に偏りを持たせてしまいがちなので、気をつけなければ偏見の原因ともなってしまいます。自分の考えとは異なる情報も広く集めて、総合的に考えることを心がけるようにしましょう。

 私たちの脳は融通がききますが完璧ではありませんし、ちょっと現実とズレてるところもあります。それは決して間違ったことではなく、むしろ脳が効率的に働いているからこそ起こることです。自分も他人も思考のクセに振り回されているんだと思うと、少しだけ人に対して優しくなれて、生きるのが楽になるのではないでしょうか。

<参考サイト>
『自分では気づかない、ココロの盲点?完全版』(池谷裕二著・講談社)
・あなたを破滅に導く心理「コンコルド効果」に要注意
https://matome.naver.jp/odai/2142331945819672801
・誰もが持っている危険な傾向、「確証バイアス」とは?
https://matome.naver.jp/odai/2142543511529739101
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
2

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(2)ChatGPT開発秘話

仕事をはじめさまざまな生活シーンで多様な役割をこなすチャットボットとなった「ChatGPT」。OpenAIが公開したこのサービスが世界中を驚かせるまでには、その創業に携わったサム・アルトマンとイーロン・マスクの対立など紆余曲...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/26
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
3

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア