社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
バナナが食卓から消えるかも?その理由とは
「バナナが消えるかも」騒動
2015年春ぐらいからささやかれている、「バナナがなくなる!?」という話、覚えているでしょうか。ニュースでもこの話題が取り上げられていたので、ご存じの方も多いと思います。おいしくて栄養価の高いバナナは日本でも人気の果物のひとつ。特にバナナ好きな人にとって、これはたいへんな事態です。青果店、スーパー、コンビニエンスストアを見てみると、今のところバナナは存在しています。いったいあのニュースは何だったのか、これからどうなっていくのか、バナナの今を探っていきたいと思います。
バナナを脅かす「新パナマ病」
問題となっているのは、「新パナマ病」というバナナの病気で、最大のバナナ輸入国であるフィリピンで広がってしまい、生産量が減少しました。原因はカビによるもので、バナナの幹を黒ずませ、腐らせてしまうとのことです。「新」ということは、パナマ病もあるのかと思う方もいると思いますが、実はあるのです。バナナ生産会社の有名企業「Dole」のサイトにて、生物学者の福岡伸一氏が詳細を語っていますが、パナマ病が見つかったのは1900年代半ばのこと。ジャマイカ生まれでアメリカに広がったグロス・ミシェル種と呼ばれるバナナが大流行したさなかにこの病気が広がり、株分けしていたものもことごとく被害にあってしまったのだということです。
このグロス・ミシェルに代わる「キャベンディッシュ種」というバナナが、今、私たちが口にしているバナナです。パナマ病に強いこの種がふたたびバナナ業界に息を吹き込んだ形になったわけですが、カビも進化するようで、今度はキャベンディッシュ種を脅かす「新パナマ病(パナマ病TR4)」が生まれてしまいました。実はこれも「新」といいつつ、1990年に見つかっているということで、もう四半世紀もたっているのですね。
有効な予防策はまだない
そんな新パナマ病ですが、有効な予防策はまだないといいます。さらに農薬をもってしても駆除することができないという厄介な病気とのことで、幹が黒くなり腐ってしまうともはや、株ごと切り落とすしかなくなってしまいます。感染拡大を防ぐため、農園の隔離などの対策を行っていると聞いていますが、先は見えない様子です。しかし、だからといって、バナナ自体、食べられなくなってしまうというわけではありません。バナナはキャベンディッシュのほかにも実に多くの種が生産されているからです。新パナマ病の被害が少ない南米でつくられたものはまだ食べることができるというわけです。
バナナの味が変わるかも
ということで、これからもバナナを食べることはできるのですが、私たちが慣れ親しんだバナナの味が、今後変わっていく可能性はあります。以前グロス・ミシェルからキャベンディッシュに変わったように、違う種のバナナを受け入れることになるかもしれません。それがどんな味なのかはわかりませんが、どういう形であれ、これからもおいしくバナナを食べ続けていけることを願うばかりです。
<参考サイト>
・Doleホームページ(ドールバナナの歴史を紐解く バナナがかかる病気とは?)
https://www.dole.co.jp/special/banana_history/leader/fukuoka.html
・Doleホームページ(ドールバナナの歴史を紐解く バナナがかかる病気とは?)
https://www.dole.co.jp/special/banana_history/leader/fukuoka.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う
ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代
これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19