教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
鶴見太郎(東京大学大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻 准教授)
シオニズムは、もともとエルサレムの別名である“シオン”の丘をめざす運動としてユダヤ人の間で定義されていたが、イスラエルが建国された今日、それは「イスラエルを守る」という意味合いになってきているという。つまり、シオニズムの動きは、ユダヤ教の伝統的な教義に従えば、辻褄が合わないように見える。メシアの到来を待たずしてパレスチナへの帰還を標榜する背景には、シオニストたちの「世俗性」が大きく影響している。ではこうしたシオニズムの動きとどう向き合うべきなのか。これはユダヤ人だけではなく、人類の課題である。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分05秒
収録日:2025年12月5日
追加日:2026年5月4日
≪全文≫

●シオニズム=イスラエルを守ること


―― 今(前回)見てきたような、いわゆるポグロム、ホロコーストが起きて、実際にパレスチナの地にユダヤ人の国をつくるのだという流れで、イスラエルができてくるということになると思うのですけれど、その背景となった運動なり、思想的な運動がシオニズムというところになると思うのですが、このシオニズムはどのように理解すればいいのですか。

鶴見 言葉のもともとの定義としては、シオンがユダヤ人の間でのエルサレムの別名みたいになっていまして、シオンの丘は旧市街のいろいろな聖地があるところの一角にあって、それがエルサレムの別名になっています。そこをめざす運動だということで、シオン主義、シオニズムといわれるようになりました。要するに、ユダヤ人の物語の中ではあそこに帰還するというイメージです。人によってどのぐらいのものをパレスチナにつくるか、特に当初は違っていたのですけれど、ちょっとしたユダヤ人のコミュニティがつくれればいいと思っていた人もいれば、なるべく広い範囲でユダヤ人が集まったほうがいいという人もいた、という感じです。

 今ではもうイスラエルができていますので、そのイスラエルを守ることがシオニズムという意味合いにかなりなっています。

―― 思想運動としてはいつぐらいからの理解になりますか。

鶴見 集団的にそういう運動ができたというのは、1882年のロシア帝国においてです。その前からもそういう発想が多少出ることはあったのですが、だいたい単発のもので終わることが多くて、まとまった運動となったのは今いった時期です。


●シオニズムという発想の転換


―― 今のようなシオニズムの運動を背景にして、実際にイスラエルという国を建国するにあたっては、イギリスが第一次世界大戦に勝つためにいわゆる三枚舌外交ということで、実際にユダヤ人にはそのように建国をするのだとして、その半面、アラブの人たちにも独立を支援するのだというようなことを約束していくという背景があって、(イスラエルが)できていくというところになると思うのです。

 その上で、今のイスラエルもそうですけれど、例えば右派と左派とか、そういうものがあったりと、ユダヤ人の中でもここに至るいろいろな流れがあったと思うのですが、これについてはどうでしょうか。

鶴見 もともとはシオニストの間でもいろいろな意...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(5)玄人と小国寡民
したたかで超越的な知恵…見えないものを見ようとする知的好奇心
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ウェルビーイングを高めるDE&I(6)エクイティ実現と特権性の理解:前編
改札、公衆トイレ、在宅勤務…構造的格差とエクイティの意味
青島未佳
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(2)エディプス・コンプレックスと自我
タブーを犯したい欲望…エディプス・コンプレックスとは?
斎藤環