ワシントン発、安全保障の未来像
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
いまだ政変が起きず衝突が長期化する国を米国は最も懸念
第2話へ進む
米国の安全保障上の懸念材料は中国ではない
ワシントン発、安全保障の未来像(1)ロシア脅威論
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
元海上自衛隊佐世保地方総監・吉田正紀氏は、ワシントンで過ごす中で、アメリカの脅威認識が日本にいた時のそれと大きく食い違っていると言う。現在のアメリカにとって、最も気になる存在は、中国ではなく、ロシアである。安全保障の最前線に立つ吉田氏が、ワシントン滞在で見えてきた安全保障の未来像を解説する。(全5話中第1話目)
時間:8分45秒
収録日:2015年11月11日
追加日:2015年12月17日
≪全文≫

●ワシントンで感じた対中認識の温度差


 皆さん、お久しぶりです。「10MTV」で安全保障・軍事の講話を担当している吉田正紀です。私は7月から、ご縁があってワシントンで仕事をしています。そこで今日は、ワシントンから見た現在の安全保障、特に米国は何をどのような認識を持って安全保障の政策や戦略に臨んでいるかといったことを、皆さんにお話をできればと思っています。

 7月にワシントンに行きましたが、以前に安全保障のお話をした通り、私は佐世保地方総監という役職を経験した中で、自分の最後の課題は、中国というライジング・パワーとどのように向き合っていくか、ということでした。それが、私の仕事の大きな柱だったわけです。したがって私の頭の中では、安全保障上の懸念は中国なのだ、という意識でワシントンに行きました。

 ところが、ワシントンに行って最初に驚いたのは、そこでは中国の脅威よりも、むしろロシア、あるいは中東のISIL(IS、イスラム国)、あるいはイランの核合意など、こういったところに議論の焦点が当たっていたことです。


●米軍指導層が最も脅威と感じているのはロシアだ


 特にこれを安全保障上の観点から見ると、7月にはアメリカ上院の軍事委員会において、次の軍のリーダーの指名公聴会が開かれました。現在は既に皆さん就任していますが、あの時は7月9日に次期の統合参謀本部議長となるダンフォード海兵隊大将、7月21日に次期の陸軍参謀長となるミラー陸軍大将、23日に次期の海兵隊司令官となるロバート・ネラー海兵隊中将、そして30日に次期の海軍作戦部長となるジョン・リチャードソン海軍大将、こういった4人の軍のリーダーシップのノミネーション=指名公聴会です。要するに、彼らを軍のトップとして据えるということで本当に良いのかという問題について、上院が実際に直接本人たちに尋ねる催しが、相次いで行われました。そしてこの時、各軍の新リーダー予定者は、それぞれ次期配置における課題や脅威認識等について意見を述べたわけです。

 そして、その中で私が最も驚いたのは、統参議長・陸軍参謀長・海兵隊司令官が揃って、米国の安全保障に最も脅威を与える存在として、ロシアを挙げたことです。その理由をかいつまんで言うと、まずロシアが依然として唯一米国に対抗できる核戦力を保有、すなわちその能力を持っているということです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(5)羽柴軍団の戦い方
長期包囲戦が得意!?“軍事的天才”秀吉の戦い方の特徴
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(6)分別からの超越
ネガティブ・ケイパビリティとは?信じて待つことの意味
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(3)言語モデルと「自己教師あり学習」
正解がタダ!?大規模言語モデルの「自己教師あり学習」とは
岡野原大輔
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎