水と地球と人間と~日本と世界の水問題
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沖縄が水不足でも、北海道での節水分は沖縄では使えない
水と地球と人間と~日本と世界の水問題(5)水の七不思議と水の危機
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
「水問題の市民運動は、おそらく根付かないだろう」――東京大学生産技術研究所教授・沖大幹氏はそう喝破する。いったいなぜだろうか。水危機に対する感情的側面を考えると、意外な思い込みや間違いがいろいろと見えてくる。地球規模の水循環と世界の水資源に関する研究の第一人者・沖大幹氏の語る「シリーズ・水と地球と人間と」第5回。(インタビュアー:大上二三雄氏/エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
時間:11分26秒
収録日:2015年3月19日
追加日:2016年4月7日
≪全文≫

●水問題は複雑ゆえ市民運動は根付きにくい


大上 前回、「水と災害」の話を伺いましたが、今回は、実際に水の危機に陥った際にどのように考えるべきか、「水と危機」について伺いたいと思います。その前に、先生は「水の七不思議」という、非常に面白いことをおっしゃっていますので、その話からお願いします。

沖 水の危機に限らない話ですが、科学的、合理的な判断だけでなく、感情的な判断について考えておく必要があります。頭では分かっていても行動に結び付かないこと、あるいは頭では役に立たないと知っているのに行動してしまうことがあり、そのことを知る方がむしろ大事ではないかと思わせる事例が多いのです。

 例えば、アフリカやインドで水が足りなくて困っている人が居ると聞くと、節水しなくては、と思いがちです。しかし、冷静に考えると、たとえ沖縄で水が足りなくなったとしても、北海道で節水した分が沖縄で使えるわけではありません。これが水問題の難しい点なのです。これに比べると地球温暖化の問題はある意味簡単で、自分が省エネすれば地球温暖化の解決にほんのわずかでも貢献できます。しかし、水問題の解決に何か貢献したいと思っても、実はできることはそれほどないのです。

大上 ないのですね。

沖 ところが、市民運動に慣れていると、「できることから始めよう」という話になります。ただ、その際、自分が無力であるという問題はなかったことにしたいのです。ですから、水問題は案外複雑で、このようなアクションを取ればよいということがはっきりしているわけではないので、市民運動として根付かないのではないかと僕は思っています。


●化石水を取り巻く不思議な話に根拠はない


大上 資料には「七不思議」として、他にもいろいろなことを書いていらっしゃいます。例えば、「化石燃料より化石水が許せない」というのがありますね。

沖 化石水とは昔、気候が湿潤だった時代などにたまった地下水のことです。今はもう地上からの水の浸透がないので増えず、くみ上げた分だけ減っていきます。この化石水に依存した農業が、アメリカ中西部・ロッキー山脈のすぐ東側、パキスタンとインドの国境付近、中国の北部など、世界の幾つかの地域で行われています。この話を聞くと、水が無くなってしまうと大変だから、非循環型の化石水の利用を規制しようと皆さんおっしゃるのです。

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