水と地球と人間と~日本と世界の水問題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
失敗してもいいから難しいテーマを選んで挑戦せよ!
水と地球と人間と~日本と世界の水問題(7)勉強と研究の違い
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
大学時代、科学や数学の研究をすることは、社会に出て、ビジネスをする上でも役に立つという。それは一体なぜなのか。地球規模の水循環と世界の水資源に関する研究の第一人者である東京大学生産技術研究所教授・沖大幹氏の語る「シリーズ・水と地球と人間と」第7回。(インタビュアー:大上二三雄氏/エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
時間:6分47秒
収録日:2015年3月19日
追加日:2016年4月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●科学や数学で解けていない問題は多い


── 先生は『東大教授』という本も書かれましたが、この中に出てくる「勉強と研究の違い」のくだりが本当に面白かったので、少し伺ってもいいですか。

沖 高校生の時、受験勉強がだんだん嫌になっていきました。勉強しなくてはならないからではなく、一番顕著なのは物理ですが、問題がいつも同じで飽きてくるからです。20世紀の初めに生まれていれば発見のチャンスはあったのに、世の中は分かったことだらけだ、などと思っていました。

 ところが、大学に入ると、その認識が間違っていたことがしみじみと分かってきました。高校までの教育では、分かっていることを分かるように教えることが先生の仕事ですから、私はすでに分かっている世界しか知らなかったわけです。

── 解答のある世界ですね。

沖 しかし、科学で解けていない問題はたくさんあるのです。むしろ解けている問題こそ、ほんのわずかにすぎません。数学も同様だと言います。一番簡単な例で言うと、私たちは、数学は数式で何でも解けると思っていますが、高校では解ける数式を習うのです。解けない問題は教えても解けないわけですから、解かないのです。このことを高校の時には分かっていませんでした。


●新しい課題の発見と挑戦自体に価値がある


沖 大学に入ると、答えがないかもしれない問題に挑戦していくことになります。研究とはそういうものです。考えてみると、実は社会に出てビジネスを行うときも同じで、成功するかどうかは分かりませんが、挑戦しなくてはなりません。

 大学でやる勉強の価値とは、答えがあるかどうか分からないけれど、新しい課題を見つけて必要な資料を集め、あるいは誰に話を聞けばいいかを考えて、決められた締め切りまでに、100点は無理としても、80点、90点の答えを出すことです。そのために、一番効率の良いやり方を追求することです。そういった経験を、一度大学でできるといいと思います。幸いなことに、理系、特に工学系は、卒業論文を書くときに一度できるのです。

 東大の工学系は、1学年に900~1000人の学生がいます。皆オリジナリティーのある研究ができるとは限りませんが、それに挑戦すること自体が、社会に出てから、新しい課題に挑戦するための良い練習になっているのではないかと思います。

大上 課題設定能力を学習する機会にな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄