東洋の普遍、西洋の普遍~中国の思想的課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
この世界を安定させる弱い理由があるのでは―ヒューム問題
東洋の普遍、西洋の普遍~中国の思想的課題(5)科学の普遍性は「弱い」
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
東京大学東洋文化研究所の中島隆博教授によると、近代科学によって世界が偶然的なものであることが示されたという。科学は、本来人間などいなくとも世界は持続し続けるという「悪夢」を明るみに出したのだ。ではそのような世界で、人間はいかなる倫理や道徳を構築することができるのか。スコットランド啓蒙の代表的存在であるヒュームを参照しつつ、この大きな問いに踏み込む。(2016年4月21日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「東洋の普遍、西洋の普遍 科学、民主主義、資本主義」より、全7話中第5話)
時間:9分29秒
収録日:2016年4月21日
追加日:2016年8月19日
≪全文≫

●メイヤスーの近代科学批判


 もう一つの重要問題である科学について、少しお話をしたいと思います。われわれが科学と聞くと、非常に客観的で、まさに普遍的なものだと考えますが、本当にそうなのかということです。

 私が、たまたま今月(4月)書評をした本があるので、それをご紹介しておきたいと思います。カンタン・メイヤスーというフランスの哲学者が書いた本です。

 最初の問いが面白いのです。例えば、「天体物理学者や地質学者、古生物学者が、宇宙の年代や地球の年代、人類以前の生物種の出現年代、あるいは人類そのものの出現年代について論じるとき、その学者たちはいったい何について語っているのだろうかという問いです。人間の生まれる前の宇宙について考えるとは、いったい何をしていることになるのか、ということです。

 科学者はそんなことを平気でやります。あるいは、少し議論を変えて、人間が滅びた後の宇宙を考えることも当然できます。しかしそれは、いったい何をしていることになるのか。当然そこに人間がいないわけですから、人間と全く無関係の世界について考えるということを科学者たちは行っています。人間なしでこの世界が存在したとしても、別に構わないわけです。

 しかし、科学者たちが本当は何をしてきたかと言えば、科学という営みを人間につなごう、つなごうとしてきていたのです。これを「相関主義」といいます。科学を人間と相関させる。例えば「観測」です。人間は観測をします。観測するのは人間だけです。人間以前の宇宙を観測するのも人間です。そうすると、その観測には人間の影が必ずあるのではないか。メイヤスーはこういう言い方をします。


●科学は「人間なしの世界」という悪夢を切り開いた


 このメイヤスーが言いたいのは、科学は相関主義などではないのではないか、ということです。本当の科学の衝撃とは、相関主義が一切ないような絶対主義ではないか。絶対的な普遍を考える。科学は、そんな恐ろしいことを私たちに投げかけてしまったのではないか。現代科学ですら、まだある種の相関主義を引きずっているわけですが、科学はもっと空恐ろしいものではないのか。こういう言い方をしています。

 それがここです。近代科学がやったこととは何か。それは、ガリレイ=コペルニクス的転回がやったことで、「人間から分離可能な世界」があることを示したことで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(2)高齢者総合機能評価とフレイル
“マッチョな老衰”はいない!?若い頃からいかに骨格筋肉量を蓄えるかが健康長寿の鍵
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
ルネサンス美術の見方(6)ルネサンスの完成者ラファエッロ
ラファエッロが「ルネサンスの完成者」と呼ばれる理由
池上英洋