サービソロジーと経営~サービスイノベーション
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アシックスによる「顧客との利用価値共創」の事例
サービソロジーと経営~サービスイノベーション(6)利用価値共創と満足度評価
村上輝康(産業戦略研究所 代表 )
産業戦略研究所代表の村上輝康氏が、前回に続きサービソロジーによるサービスイノベーションについて具体的事例をもとに解説する。今回は優れた技術を店頭に持ち込んだことで顧客との利用価値共創を実現したアシックスと、便益遅延性を伴うため顧客満足度評価が難しい医療分野の例を取り上げる。(全9話中第6話)
時間:14分43秒
収録日:2017年10月12日
追加日:2017年11月28日
≪全文≫

●アシックスの三次元足型計測技術による利用価値共創事例


 サービソロジーによるサービスイノベーションの事例についてお話をしていますが、今回は「利用価値の共創と満足度評価」についてです。

 まず、利用価値の共創ですが、これは顧客の事前期待と企業の価値提案の間のダイナミックな相互作用をどう創り出すかということです。それが価値共創ということになるのですが、では「価値共創、価値共創」と言うけれど、どうやってやればいいのでしょうか。そのニーズに応えようということで、サービスをエンジニアリングの対象にしようとするサービス工学のアプローチの事例を用いたいと思います。

 では、産業技術総合研究所のサービス工学研究センター長だった持丸正明氏が参画したプロジェクトを紹介します。これは、スポーツシューズメーカーのアシックスのケースなのですが、スポーツシューズメーカーにとって三次元の人体計測技術は、研究開発分野で非常に重要な意味を持っています。オリンピック選手のスポーツシューズをどのようにデザインするかということを考えるときに、この技術が大活躍するのですが、アシックスはこの技術を顧客接点の店頭に持ち込みました。自分の足型に合った靴を買いたいという顧客の事前期待に対応するために可視化をしているのです。


●店頭で徹底計測、データを可視化、微調整で最適な靴を作る


 例えば、アシックスの銀座の店に行くと、四角い箱がありますので、片足ずつ足を入れると、そこに4方向からレーザー光が当たり、それを8つのCCDカメラで撮ることによって、片足の立体形状のデータを5秒程度で取ることができるのです。それは実に7万カ所のデータになるそうです。こうしたことを両足で行います。7万カ所のデータが出るとそれを加工して、25センチ、26センチといった足のサイズ、4Eとか3Eといった足幅だけではなく、足の甲の高さやかかとの傾斜角、足指の長さや形、あるいはフットプリントといったものを、片足ずつ分かりやすく正確に可視化してくれます。

 こうした可視化が行われると、足の幅やサイズだけではなく顧客の土ふまずの形とか、標準的な靴と顧客の足の間の隙間のどこが広いか、指の形状にどうやって合わせるか、というようなことが分かってきます。シューズメーカーはいろいろなフィッティングパーツを持っているのですが、そうしたデータによって、どうい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
億万長者への道(1)お米屋さんから不動産業界へ
「背広を着てビジネスがしたい」との思いから宅建取得
高橋誠一
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦