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Airbnbはなぜこの短期間に急成長できたのか?

サービソロジーと経営~サービスイノベーション(9)持続的サービスイノベーション

村上輝康
産業戦略研究所 代表 
概要・テキスト
産業戦略研究所代表の村上輝康氏が、サービソロジーによるサービスイノベーションの事例を紹介していく。最終話の今回は「持続可能なサービスイノベーション」として、airbnbを取り上げる。(全9話中第9話)
≪全文≫

●一回り大きな「持続可能」なサイクルを達成するために


 サービソロジーによるサービスイノベーション事例をこれまで(シリーズ後半4回に分けて)お話ししてきました。第1回では、価値提案について原プロジェクト。第2回では、利用価値共創についてアシックス、満足度評価について藤村プロジェクト。第3回では村井プロジェクトを通して、価値発信と学習度評価について。第4回では経験価値共創について浅間プロジェクト、知識・スキルの蓄積について良品計画を例に取ってお話ししてきたわけです。

 次は「交換価値」ということになるのですが、交換価値に関わるリターンやコストの議論は、いわゆるビジネスモデル論でこれまでさんざんいろいろな角度からやられていますので、ここでは割愛したいと思います。

 全体を見ていただくと、これまで私がお話しした事例はどれも、ニコニコ図の一部にイノベーションをもたらすための仕組みとなっています。村井プロジェクトの場合は、経験価値共創については非常に広く行われていますが、利用価値共創には手を出していません。逆に原プロジェクトでは利用価値共創は行っていますが、経験価値共創には言及していません。

 シリーズの冒頭に申し上げたように、利用者サイドの利用価値共創サイクルが経験価値共創サイクルにつながって、それがマーケットで交換価値実現のサイクルにつながることで形成される、一回り大きなサイクルが持続可能になる。この全体を確立するのが、サービソロジー的なサービスイノベーションであるわけですが、これまで紹介した研究事例の中にそういうものはなかったということです。

●シームレスなサービスモデルを確立した「airbnb」


 そこで、すでにこのサービスモデルを具体的に実現しているケースのお話をさせていただこうと思います。それが「airbnb」のケースです。民泊やシェアリングの事例として、すでに非常に有名になっている会社です。

 ご案内の通り、airbnbは、個人事業主であるオーナー(ホストのこと)が、自分の家や部屋を、自分が利用しない間、適度な値段で宿泊先を探している顧客に貸し出すことを可能にする、マッチングのプラットフォームを提供する、いわゆる民泊サービスの非公開企業です。

 2008年に設立されて以来、この会社の事業は驚くべきスピードで成長しています。私は、設立7年目の2015年にサンフランシスコの...
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