●ひらめきの個人差を生むポイントは見る目と多様性
次に、皆さん興味があると思いますので、ひらめきの個人差ということについて、何がひらめく人とひらめかない人を区別しているのか、その両者の違いはどこにあるのかということについて行った研究をご紹介したいと思います。
ここでは、またTパズルなのですが、ちょっと変わった形の実験をやりました。始めにTパズルを解いてもらいます。普通だと(終わりの)15分までそのままずっと解かせるのですが、(今回の実験では)実は5分経過した時点で評価課題というものを用意して、それを見てもらいます。タイプはこの(スライドにある)4通りあります。細かいお話はしませんけれども、筋のいいものがあり、それはスライドの右下の写真のもので、(それがヒントとなり)もうちょっとで解決に至るという置き方、組み合わせ方なのです。左上のものは最もダメで、みんなよくこういう形を作るのですが、ここで苦悩します。そこで、これらのものがどれほど解決に役立つかということを10段階で評価してもらいます。この後にまたパズルを解くのを再開し、10分で終了ということにしました。
もちろん、解けた人と解けない人がいるわけですが、ただ、途中でこういういいものを見せたりしているので、解ける人は普通よりも多くなりました。では結果のほうに進みます。
そうすると、できる人とできない人で区別してみたら、次のような違いがあるのです。スライドの左側の形や右上の形はダメなのですが、この3つに関しては、できる人もできない人もそれほど差がありません。しかし、右下のいい配置を見たときの反応が大きく違います。できない人は別に他とあまり変わらない評定値で、3.6となっています。一方、できる人は5.5をつけています。左側の形に対して、できる人はおおむね2の評定ですから、その2倍以上の点数をつけているということになるわけです。
ですので、この人たち(右下の形に反応した人たち)はいいものを見たときに、「あ、これはいけるかも」というようなことが分かる。一方、できない人たちはそういうものを見てもピンと来ない。つまり、見える目が違う、評価眼が違うということです。
それからもう1つ。(...