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福岡市のオンライン診療モデルの特徴

在宅医療とオンライン診療(3)オンライン診療の実証

武藤真祐
医療法人社団鉄祐会 理事長
情報・テキスト
実際に福岡市の実証事業で導入されたオンライン診療は、どのような人々をターゲットとして、いかなるメリットを生んだのだろうか。1年におよぶ実証事業に基づいて、医療法人社団鉄祐会理事長の武藤真祐氏が解説する。(全4話中第3話)
時間:11:23
収録日:2018/03/30
追加日:2018/08/30
≪全文≫

●オンライン診療はあくまでも対面診療の補完


 医療法人社団鉄祐会理事長の武藤真祐です。今回は福岡市でわれわれがやってきたオンライン診療の実証についてお話しします。われわれが福岡市医師会、そして福岡市と進めてきましたオンライン診療の実証ですが、まず簡単にそのモデルについてお話ししたいと思います。



 われわれのモデルはあくまでも保険診療の中で行うオンライン診療です。そして、もう1つ大事なのは対面診療の補完であるということです。初診を対面でやっていただくと、医師が患者さんの状況をある程度分かります。例えば、この患者さんはこういう病気を持っているとか、もしくはこういった教え方をする方が効果的であるとか、どういう性格であるとか、そういったことをまず医師が理解をした上で、患者さんがオンライン診療を入れてもちゃんと聞いてくれるのではないか、もしくはちゃんと対面診療の方に戻ってきてくれるのではないかといった共通の理解をする必要があります。また、同じように患者さんも医師のことをよく理解し、信頼に足る医師なのかどうかを判断して、人間関係ができた上でスタートします。これは非常に大事な点です。

 もう1つ大事なことは、例えば実際に対面の診療を月に1回から3カ月に1回にして、その間にオンライン診療を入れていくということです。われわれが考えるオンライン診療は、ビデオで話をするだけではなく、日々のモニタリングをした上で、オンラインで話すこともできる、といったものです。

 このモデルを進めていくと、どういう人がその対象となるのか、つまりオンライン診療を受ける患者さんとして適切なのはどういう人なのかといったことが次の問題になってきます。


●オンライン診療患者は、3つのタイプに分けられる




 このモデルを行ってみますと、大きく3つのタイプの患者さんがターゲットであることが分かってきました。

 1番目は忙しい方です。忙しくてなかなか病院に行くことができず、例えば高血圧の薬を飲まなかったり、本当は飲むべき糖尿病の薬がなくなってしまったりということがあり得るわけです。そのような人たちに通ってもらうにはどうしたらいいのかと考えました。単に忙しいだけでなく、例えば福岡なので船乗りさんとか、もしくは長距離ドライバーのように、診療に行きたいけれども本当に行けない方もたくさんいらしたのです。こういった方たちに、オンライン診療は便利に使っていただけるのではないか。ということで、この方たちが1番目のターゲットです。

 2番目は、われわれが進める中で気づいたのですが、フレイル、つまり体がだいぶ弱ってしまい外来に通うのが結構大変な方たちが世の中に多くいらっしゃいます。在宅医療は通院困難な患者さんということで要件が決まっていますから、例えば寝たきりの方やがんの終末期の方ですと在宅医療が入ります。けれども、その中間層の人たち、つまりある程度元気に外来に通える方と寝たきりに近い方もいらっしゃるわけです。

 その中間層の人たちは今どのようにしているかというと、なんとかご家族が連れてくるパターンが多いのです。車椅子に乗せてご家族が病院やクリニックの外来に連れて行きます。なかなか大変で、いわゆる介護のためにその日は家族が休みを取らなければいけないとか、ご本人も行って長い間車椅子で待ち、診察は非常に短く薬をもらって帰っても、半日から1日がかりということになるのですが、この人たちが実際は大変な思いをされていることが分かってきています。

 したがって、3回に1回は先生の顔をしっかり見に行き、残りはビデオでかかりつけの先生と話すことができれば、本人も家族もだいぶ楽になります。こういった方たちが2番目のターゲットです。

 3番目はまさに在宅医療なのですが、在宅医療はわれわれ医師、もしくは訪問看護師さんが何かあったときに訪問するというものです。これには、定期的な訪問と緊急の訪問と両方があるわけですが、特に緊急の訪問がなかなか大変です。夜中のこともありますので、在宅医としては夜中でも必要があれば訪問看護師さんと手分けして訪問して様子を見ることがあります。

 在宅医療で何が問題かというと、次のことが挙げられます。患者さんの中には、もちろん本当に状況がシビアな場合もありますが、さまざまなことで不安を感じる患者さんも多いのです。そういった方たちは、実際に医師と話をすると落ち着かれたりすることもあるので、そうしたことに対して、われわれ医師が在宅医療に行って戻ってくると1時間とか2時間、あるいは夜中までかかることもあります。つまり、医師にとっては正直、非常に負担が大きいということです。このような24時間体制でやっていかな...
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