私のおすすめ本~幕末の歴史を知るため~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の幕末について知るためにおすすめの本
私のおすすめ本~幕末の歴史を知るため~
歴史と社会
落合弘樹(明治大学文学部史学地理学科専任教授/博士(文学))
幕末の歴史を知るための入門編としてはどんな本がいいか。また幕末の歴史を専門的に掘り下げて学びたい人にはどんな本を読んだらいいか。落合弘樹氏自身の経験も踏まえながら、おすすめの本について語っていただいた。
時間:4分38秒
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月2日
≪全文≫

●佐々木克氏の『幕末史』がおすすめ


 今回は、日本の幕末について知るための、おすすめの本を紹介します。

 まず、これは自分の恩師の本ですが、佐々木克先生が書いた、『幕末史』という本があります。これは、2014年に出た本です。一見すると、とっつきにくい感じがするかもしれませんが、以下の理由でおすすめできます。

 佐々木先生は史料をすごくよく読んでいる人で、史料に基づきながら、また幕末史の新しい考え方なども押さえながら、この本は書かれています。例えば、幕末のこの人物はこういった考えを持っていて、証拠はここにある、という感じで進めています。

 この本は、概説的あるいは教科書的な本よりは、少し佐々木先生個人の意見が食い込んでいて、他の人の説に批判などもしたりしてします。私自身からすると、祇園のスナックなどで聞かされてきたような話ですが、「本当はこういった史料があるのに、それを少しも読んでいないではないか」という口調で書かれているところもあります。とはいえ、どこか興味があるところを拾い読みするだけでも面白いと思います。


●入門編としては司馬遼太郎がおすすめ


 以前にどこかの雑誌で、幕末の歴史のことをよく知らない人のための入門編としておすすめの本を聞かれて紹介したことがあります。やはり幕末の歴史や幕末の人物に興味を持った場合、歴史書ではないのですが、こういう人物がいたということを知るには、司馬遼太郎さんの文学が入口としてはいいと思います。

 私自身も大河ドラマや歴史漫画から入ったので、こういった入り方も悪くはないと思います。


●漫画なら手塚治虫の『陽だまりの樹』もおすすめ


 また、漫画でしたら、手塚治虫氏の『陽だまりの樹』という作品がおすすめです。これは、手塚さんご自身のご先祖様のことを書いている作品ですけれども、幕末の流れを非常に分かりやすく押さえています。そこで、あまり苦労せずに幕末の流れを理解できるという意味では、面白い本だと思います。


●専門的に掘り下げて知りたいなら大手出版社の歴史シリーズも


 もう少し専門的に掘り下げて知りたいならば、幕末史を紹介した本はたくさんありますが、やはり先述しました『幕末史』は、新書であり本体価格1000円と高くないので、いいと思います。この本は、幕末の史料を踏まえながら論述しており説得力がありますし、分かりやす...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
編集部ラジオ2025(19)堀口茉純先生の「講義録」発刊!
著者が語る!『『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京』
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(1)原発最大限活用の根拠と可能性
第7次エネルギー基本計画とは?原発活用方針の是非を問う
鈴木達治郎