「中華民族の偉大な復興」と中国外交
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
中国の大国外交の在り方を3つの側面から解き明かす
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(3)大国外交
小原雅博(東京大学名誉教授)
2008年以降の中国は、「韜光養晦」戦略の下での国際協調路線から、蓄えた力に依拠した大国外交へと、その外交方針を転換した。今回は、中国の大国外交の在り方が、「新型大国関係」、「中国の描くアジア新秩序」、「米中大国関係の展望」という3つの側面から解き明かされる。(全4話中第3話)
時間:13分04秒
収録日:2019年4月4日
追加日:2019年6月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●「新型大国関係」


 今回は、中国の大国外交、特にその「新型大国関係」を中心に議論をしたいと思います。

 アメリカにおいて、米中間の覇権争いがいずれ戦争に至るとの見解は、決して珍しくはありません。しかし、中国からは、相互依存の深まる米中関係はかつての大国関係や冷戦中の米ソ関係とは異なっている、そういった声が聞こえます。すなわち、新しいタイプの大国関係を確立することによって、新興・既存の大国間で戦争が不可避になるという「トゥキディデスの罠」を回避できるという見解です。

 2013年6月、国家主席として初めて訪米した習近平氏は、バラク・オバマ大統領との首脳会談において、「1.対抗しない、衝突しない、2.相互尊重、3.協力とウィン・ウィン」(中国語で「不対抗、不衝突、相互尊重、合作共贏」)という14文字方針の「新型大国関係」を提案しました。楊潔篪国務委員の解説によれば、「ゼロ・サムゲームの考えを捨て、自国の利益を求める時、相手の利益にも配慮し、自国の発展を求めると同時に、共同発展を推進し、絶え間なく共通利益を実現するための仕組みを模索する」ということです(これは、中華人民共和国中央人民政府ウェブサイトに、2013年6月9日に掲載されたもの)。

 2014年11月に北京で開催された米中首脳会談において、習近平国家主席は、「新型大国関係」について、2013年に提起した3原則を6原則に広げて再提案しました。その中には、次のような新たな諸原則があります。

 1つ目は、「中国とアメリカは国情が異なる二つの大国で、互いの主権と領土保全を尊重し、それぞれが選んだ政治制度と発展の道を尊重し、自らの意志とモデルを相手方に押しつけない」というものです。2つ目は、「相手方の核心利益を損なうことをしない」というものです。3つ目は、「アジア太平洋地域において互いに包容し、協力を進める。広大な太平洋は米中両国を受け入れる十分な大きさがある」というものです。

 1つ目と2つ目は、イデオロギーや価値をめぐる闘争を避け、「核心利益」を尊重することを意味します。それは、アメリカによる干渉やいわゆる「和平演変」すなわち平和的体制転換、これらに対する中国の警戒感や防衛本能の裏返しでもあるといえます。逆に、最後の3つ目には、中国大国外交の自信と本音が垣間見えます。特に、「広大な太平洋は米中両国を受け入れる十分な大きさがある」と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点
中西輝政
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
ウェルビーイングを高めるDE&I(5)心理的安全性の高い組織づくり
無知、無能、邪魔!?…心理的安全性を阻害する5つの要因
青島未佳
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(6)賃金の未来シナリオ
AIが人間の仕事を「完全代替」したらどうなる?…仕事と賃金の未来
宮本弘曉
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
【入門】日本仏教の名僧・名著~明恵編(1)批判精神と『夢記』
法然の専修念仏を批判…明恵の「あるべきようは」とは?
賴住光子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦