「中華民族の偉大な復興」と中国外交
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「強国・強軍」を目指す「中国の夢」とはどんな夢なのか
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(4)「中国の夢」
小原雅博(東京大学名誉教授)
中国外交の将来を占うためには、中国が掲げる「中国の夢」について理解する必要がある。個人の夢である「アメリカン・ドリーム」と異なり、「中国の夢」は1つの運命共同体として捉えられた国家・民族・個人の夢である。それは、どのような特徴を持ち、どのように世界を変えていくのだろうか。(全4話中第4話)
時間:14分31秒
収録日:2019年4月4日
追加日:2019年6月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●「強国・強軍」を目指す「中国の夢」


 中国外交についての最後の回です。今回は、「強国・強軍」を目指す「中国の夢」について考え、中国の外交の将来を占っていきたいと思います。

 2012年11月、党大会で新たな最高指導者に選出された直後に、習近平総書記は、他の6名の中央政治局常務委員を引き連れて国家博物館での「復興の道」展を参観し、そこで初めて、「中国の夢」に言及する講話を行いました。

 その際に習近平氏は、以下のように言っています。

「私は、中華民族の偉大な復興を実現することこそが、中華民族が近代以来抱き続けてきた最も偉大な夢である、と考えている。この夢は、数世代にわたる中国人の宿願を凝縮し、中華民族と中国人民の全体の利益を反映しており、中華の子女一人ひとりが抱く共通の願いである」「歴史が我々に告げている通り、一人ひとりの前途と運命は国家と民族の前途と運命に密接に関係している。国家がうまくいき、民族がうまくいって初めて我々一人ひとりもうまくいくだろう」

 アメリカが超大国への階段を駆け上った20世紀、「アメリカン・ドリーム」は世界中の多くの人々の魂を揺さぶり、彼ら彼女らをアメリカ社会に引き寄せました。そして今、「パクス・シニカ」、すなわち中国の覇権による平和となる可能性を秘めた21世紀に、われわれはいます。「中国の夢」は、中国を、そして世界をどう変えるのでしょうか。

 この重大な問い掛けに答える上で、まず整理すべき疑問があります。それは、「中国の夢」とは誰の夢か、という疑問です。「アメリカン・ドリーム」は、機会の平等、能力主義、経済的活力、これらに満ちた自由民主の資本主義大国だからこそ叶えられる、国民一人ひとりの夢です。頑張っても頑張らなくても皆等しく貧しい社会主義国家に、夢はありませんでした。そして、ソ連と東ヨーロッパの社会主義陣営は崩壊したのです。

 その中で、改革・開放によって経済チャンスを国民に与えた中国共産党は生き残りました。それどころか、歴史上最長で最高の経済成長を実現し、世界の成長センターとなったのです。一方、中間層の没落や格差の拡大で、「アメリカン・ドリーム」は過去のものとなりました。低成長、デフレ、借金、人口減少、少子高齢化、こういった課題を抱える日本でも、閉塞感が広がり、夢は聞かれなくなりました。

 今、夢を語るのは中国です。そこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(3)Human Co-becomingと存在神学への対抗
耳障りな言葉がポイント!?新しい概念を生み出すチャンス
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海
グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味
小原雅博
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典