生活支援ロボットと人の共生
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ロボットを取り巻くメーカー、行政、ユーザーの問題点
生活支援ロボットと人の共生(8)それぞれの問題点
村田知之(神奈川県総合リハビリテーションセンター 研究部リハビリテーション工学研究室研究員)
生活支援ロボットが人と共生する社会を迎えるには、メーカー、行政、ユーザーのそれぞれが抱える問題点を見据える必要がある。まずは互いに互いを知り、どうすればロボットを有効活用できるかを模索することからだろう。ここでは最近動き始めている腰痛予防ロボットの事例をうかがっていく。(全9話中第8話)
※インタビュアー:谷口和弘氏(慶応義塾大学商学部教授)
時間:9分44秒
収録日:2018年12月6日
追加日:2019年7月29日
≪全文≫

●メーカー、行政、ユーザーのそれぞれが抱える問題点


谷口 神奈川県では「さがみロボット産業特区」に注力されている一環として、「2028年に人間とロボットが共生する社会がやってくる」という想定で、興味深い動画を発表しています。先生の考え方をうかがいたいのは、ロボットをつくるメーカー、ロボットの実証実験を制度化する行政、それからロボットを利用するユーザーの関係についてです。

 それぞれ固有の問題点はあると思うのですが、私はロボットをつくる側にとってロボットの開発自体が目的化してしまい、なかなか製品の改良に結び付かない点が気になります。フレキシビリティもないし、ユーザーフレンドリーではない部分もあります。

 行政は、神奈川県の場合は非常に力を入れていますが、5年+5年の2期と期限が限られています。資金的にもコミットできないような問題があり、県の方に話をうかがうと、「県がそこまでやる必要があるのか」と批判を受けていると聞きます。ロボットに力を入れても、費用対効果は見えにくい。ロボット産業育成のようなリスクの高いことを県が行う必然性が問われているのだということでした。

 一方で、利用する側のユーザーもロボットに対する理解が不十分なこともあれば、私のようにロボットに過剰な期待をかける人間がいることからも問題が生じます。先生ご自身では、メーカー、行政、ユーザーに対して、何か問題点をお感じになることはありますか。

村田 おっしゃるとおり、それぞれの分野がそれぞれのことをもっと知らないといけないということが、まずあると思います。ただ、最終的にはやはりユーザーのことをしっかり考えるべきでしょう。ユーザーに広がらない限り、企業としても売上が上がらないし、社会的にも広がらない。ユーザーは患者だけではなく、それを扱うわれわれのような医療従事者も含みます。そのような捉え方をして、使用状況を聞いて広めていかないと、なかなかロボット社会は進まないのではないかと思います。


●腰痛の社会問題化と腰痛予防ロボットの進展


村田 多様な種類のロボットがあるなかで、最近少し多いのは腰痛に配慮したロボットです。なぜかというと、2013年に厚生労働省が「職場における腰痛予防指針」というガイドラインを出したからです。いわゆる看護や介護職、あるいは運送業などに従事する人たちの腰痛が、社会問題と言えるレベ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(2)「ほめる」技術
男性は「ほめる」のが苦手?傾聴から始まる「ほめる」技術
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史