生活支援ロボットと人の共生
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
企業や大学と連携したリハビリロボットの開発
生活支援ロボットと人の共生(5)ロボット開発
村田知之(神奈川県総合リハビリテーションセンター 研究部リハビリテーション工学研究室研究員)
かながわリハビリロボットクリニックでは、企業や大学と連携してロボット開発も行っている。実際に生活支援ロボットが使われる現場として、ユーザー側からのフィードバックが主な役割だ。しかし、ロボットがテクノロジー主導であることや開発陣の思いの強さなど、解決の難しい問題が横たわっている。(全9話中第5話)
※インタビュアー:谷口和弘氏(慶応義塾大学商学部教授)
時間:9分21秒
収録日:2018年12月6日
追加日:2019年7月24日
≪全文≫

●企業や大学と連携したロボット開発の難しさ


村田 かながわリハビリロボットクリニックの役割としては、ロボットの開発が最後にあります。開発自体や、企業や大学との連携です。こちらは年間に20件以上の相談が、企業や大学から入ってきます。使い方、もしくはモノ自体の開発を一緒に行い、必要があれば当院の患者さんに試していただくことや、当院の専門職種の方々に見ていただいてフィードバックする。そういったことも、実際に手がけています。

谷口 こちらでいろいろな患者さんから実際に得た知見をフィードバックして、企業ではそれが十分に生かされるのでしょうか。

村田 非常に難しいと思います。企業にしてみると、完成品を見てもらいたいという気持ちがおありなので、開発途中の状況でお持ちいただくことは非常に少ないです。そのため、当院に来る段階で、すでにある程度モノとして完成されています。

 完成されたモノに対して、われわれが、たとえば「ここは、もっとこうすると安全かもしれない」などと意見交換させていただいても、企業の方では仕様変更が難しいことがあります。デザインやプログラムなどの運用についても、仕上がった状況でお持ちいただくので、それに対するもどかしさはあります。

 意見交換の席上では、企業の方が「ああ・・・」と納得される場面もあれば、われわれが「ここがもう少し違っていれば、より安全に使えるのに」と思う場面もあり、そのあたりが非常に難しいです。

 また、非常に初期段階で来られる場合もあります。今から開発しようと思うものに対するフィールド調査というかたちで来られる方がいらっしゃる。それに関しては、いろいろな情報をお伝えして、企業の方がそのなかから「では、この路線で行こう」と選択肢を決めているのだと思います。

 先に述べた完成品を持ち込まれた場合、モノとしての改修が難しいときは、使い方を工夫していくというお話をさせていただくことが多いです。

 たとえば、「こういう方には危険だから使わない」というカテゴリーを作ることもあれば、使うときの手順をしっかり決めてリスク管理をした上でモノとして提供していく。もしくは、使い方やプログラムなどについて、別の方法をとれば思いがけない対象に効果があることも考えられる。そういったところをお話しすることもあります。


●ビジョンのあるロボット、ないロボット...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子