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歩行アシストロボットを活用したリハビリテーション

生活支援ロボットと人の共生(4)ロボットリハビリ

村田知之
神奈川県総合リハビリテーションセンター 研究部リハビリテーション工学研究室研究員
情報・テキスト
ロボットを活用したリハビリテーションは、かながわリハビリロボットクリニックが掲げる2つ目のテーマだ。パワードスーツとして注目されるサイバーダインのHAL、安川電機が輸入したRewalkなど、最新鋭のロボットを用いたリハビリは、どこまで可能か。また、その問題点はどこにあるのだろうか。(全9話中第4話)
※インタビュアー:谷口和弘氏(慶応義塾大学商学部教授)
時間:06:33
収録日:2018/12/06
追加日:2019/07/24
≪全文≫

●イスラエル製のRewalkを日本人に合わせる工夫


谷口 前回のお話にも関わりますが、先ほど「Rewalk」を見せていただきました。この製品はもともとイスラエルでつくられたものですよね。

村田 そうです。

谷口 イスラエルの方と日本人では体型が違うので、技術導入された安川電機が日本人向けにアレンジされたとうかがいました。

村田 はい。Rewalkはもともとイスラエル製で、軍事用の背景があったと聞いています。それが、安川電機を中心としてアジア圏で展開するとなった今、体格差がどうしても問題になってきました。

 Rewalk自体は、剛体でできているので、伸縮はしません。装着したときにどのような不具合が起きるかというと、装着者の側にひずみが生じてきてしまいます。体が合ってない状態で装着すると、膝の曲がる位置がわずかにずれているだけで接触部分の皮膚がずれ、擦過傷を起こしてしまったりします。

 当院でも少しそういう状況になりかけたので、リスク管理をしっかりしています。肌の強さ、骨格などが違うことが、当院で試しているなかでかなり明らかになってきました。しかし、装置自体は完成されたものなので、変えることができません。安川電機は輸入販売する立場なので、日本用の改造はできなかった。ではどうするかというと、装着者とロボットの間に何か緩衝材をかませて不具合を緩和する方法をわれわれはとりました。動くことで体に生じるずれを、クッション材などを挟んで擦過傷を予防するといったことを、実際には行っています。

 ですから、海外で問題なく使われている製品、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証にも合格した装置として、何ら問題のないものであっても、環境などが違うことで不具合が生じるケースがあることを、非常に勉強させてもらいました。今は、そのあたりに気をつけて運用しているところです。


●Rewalkは補装具、HALは医療機器。その違い


谷口 ありがとうございます。私の質問が後先になったため、ロボットクリニックの役割の話から少しずれてしまいました。一度そちらの方へ戻していただこうと思います。前回、筋電義手のお話をいただきましたので、それ以外の役割を聞かせてください。

村田 筋電義手の処方や訓練のほかには、ロボットを活用したリハビリテーションがあります。当院では今、サイバーダインのHALや安川電機のRewalk、その他いくつかのものをそろえ、どのように患者さんに使っていけるのか検証していくかたちをとっています。

 たとえば、サイバーダインのHALは治験も行われていて、すでに医療機器として一部認可されているものです。「医療機器である」ということは、つまりそれを使うことで「治療効果がある」と認められているわけです。Rewalkの場合は医療機器ではありません。実際、サイバーダインのHALとRewalkは見た目がとてもよく似ているのですが、目的がだいぶ違います。

 Rewalkの方は「補装具」といって、その人の動作を補助するための装具という位置付けになります。同じ外骨格のロボットですが、役割は大きく違う。HALは医療機器として認められているので、医療制度のなかで定められた対象に当てはまれば、患者さんからいわゆる診療報酬としてお金をいただいて運用することができる。ただし、それ以外の症例には該当しないので、運用の難しさがあります。


●今までにない分野のロボットが病院で運用される難しさ


村田 おそらくこれは社会的にも今、テーマになっているところだと思います。ほかのロボットについては、治療と言うよりも訓練の一環として使うものなので、その運用方法を今探っている最中です。企業でも、実際にどのように展開するのか、どこまで使えるものなのかが分からない状況なので、そこを一緒に考えることの比重が大きくなっています。

 今までにない分野のロボットが病院で運用されるというのは、やはり非常に難しいことです。どれだけ使えばいいのか、また、どのように使うのか。先ほど見ていただいたRewalkを使うときも、専門職種の方が前と後ろで支えていましたが、そのようなサポートの方法ですら、その都度われわれも考えながら行っている状況です。

 企業からは当然マニュアルが付いてきますし、研修制度はサイバーダインでも安川電機でも設けています。しかし、それだけで収まるものでもありません。患者さんによって特徴も違えば、身体状況も皆違うなかで、一概に1つのやり方では対応できないからです。

 私どもは今、いろいろな患者さんにロボットを使っていただくことで、企業にそれをフィードバックし、より安全に使える方法や禁忌事項などを、企業と一緒に探っているところです。
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